スイス人の環境意識 [エコロジー]
だいぶん前の話になるが、ジュネーブのどこか適当な街角に立って、道路脇に駐車している車をランダムに連続した10台を選んでそのうち何台が日本車か、という観察をしたことがある。スイスは自分の国では車を作っていないから、どの車も輸入車である。何回かやってみて、場所によってバラツキはもちろんあるが、だいたい平均して10台のうち、なんと7台までが日本車なのである。こんな変な自己流の調査を思いついたのは、スイスでの日本車の多さで、それの実際を自分なりの統計で確かめるためだった。
ある登山電車に乗ったとき、隣に座った子供連れのスイス人が私に話しかけ、自分はもうずっと日本車に乗っているのだ、という。なぜですか? ときいたら日本車が一番燃費がよく、排気ガスも窒素酸化物など自然を破壊する物質が少ないからだ、という。みたところ、ごく普通のスイス人だが、自然環境という点では、観光立国のスイス人は環境にとても敏感なのだ、ということを感じた。四方陸続きで他の国に囲まれているスイスは,自国の努力だけではいかんともしがたい点が多い。それでも自国でやれるだけのことはやる、という意思の表れだろう。
現在進行中のプロジェクトは、ゴッタルトやシンプロンのようなトンネルのさらに低いところに長大なトンネルをつくり(Gotthard Basis Tunnnel)、 ドイツとイタリアを結ぶが、スイスはただ通過するだけ、という輸送をなるべく環境に影響しないように、トラックや乗用車を、山のなかを通してしまおう、という作戦なのだ。そういえば峠越えには列車に車を積んで通過する、というピギー・バック方式が一番早く発達したのもスイスではなかったか。
スイス人に車をほめられた日本ではどうか? たとえば関越トンネルを列車に車を積んで走るような非能率的な話は聞いたことがないし、成功するわけがない。
東京で一番外国車の通行量の多いと言われる環八沿いで、やはりおなじようなウオッチングをやってみたが、だいたい20台のうち1〜2台が外車、という感じになる。自動車大国の日本で、これを多いとみるか少ないとみるか、は意見が分かれるところだろう。よく外国人が、日本人はこんなに優れた車を作っているのに、ベンツやBMWなどみんなほしがるのはなぜだ?と笑っている。
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