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管弦楽器論 [音楽一般]

 フランツ・マイヤーホフ著、信時潔共訳の「管弦楽器論」が届いた。カビだらけの古本だがインターネットで見つけたもので、大正14年とあるから、原著がでたのはもっと昔に違いない。信時裕子さんの調査では日本では2番目の管弦楽法の本だそうである。譜例を入れて200ページほどのものだが、楽器の図入りで、各楽器のについての記述が主で表題どおり、「管弦楽器」について述べたものだ。したがって本格的な管弦楽法の教科書というわけではない。それでも当時このような本が出されたことは、実際に楽器を見ることすら難しかった時代には重宝されたであろう。もちろん西欧では昔からベルリオーズの「管弦楽法」に代表されるこの類の本はたくさん書かれているが、大正末期の日本の楽壇の状況では、そんな難しいものはまだ一般には必要とされなかったのかも知れない。多分この時代に日本人で作曲を志す人は、大作曲家のスコアから直接学ぶほかなかったのかも知れない。まあこれは現代でもそうで「和声学」の本を何十冊読んでも和声のことが分かるようにはならないのと同様、「管弦楽法」の本をどれだけ読んでもそれだけでは正しいスコアをかけるようにはならない道理であろう。

 私が子供の頃ちゃんとした管弦楽法を教われなかったのは、田舎に育ったせいばかりではなくて、日本のレベルがまだその程度であったのだ、と今更ながら納得がいった。でもまあ菅原明朗著「管弦楽法」の本などは家にあったので、大正時代から見れば、それでもその50年の間に日本人によって本格的な管弦楽法の本が書かれるくらいには進歩していたらしい。


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