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フーガの技法(11) [洗足学園]

 主にブラスの学生相手のゼミなのだ。これにはほとほと困った。何しろ勝手が違う。が、今日はもう腹を決めた。フーガの技法、なかでも理解するのに一番難しい曲を一曲選んでみた。

 「今日は一番理解の難しい曲の話をします」。と最初に宣言したら、まもなく半分くらいの学生が居眠りをはじめた。まあこれは想定の範囲である。聴く気のあるものだけが聞けばいい、かまわず、すこしづつやさしいフーガの仕組みをピアノで弾きながら話を進めた。ついで、いよいよ難しい3重フーガの仕組みもすこしづつ、段落ごとに出来る限り素人にもわかるように心がけながら話していった。だんだん学生たち、興味を持ちだしたようである。

「一人で演奏するのは大変だが、4人で手分けすればそんなに演奏することはそれほど難しくないけれど、曲のほんとうの良さを理解するのには何ヶ月かかかるかもよ。私自身も今現在、苦労しながらこの上なく楽しんでいるのだから。苦労した人だけがこの曲の深さをほんとうに楽しむことができるようになる」。

 「では最後にもう一度一通り演奏して聴かせるから配布したスコアを目を皿のようにして注視しながら、全身で理解するようつとめなさい」。 弾き終えてみんなの表情をみたら、もう誰一人居眠りしているものはいなくて、バッハの音楽にうたれたようだった。難しいことを易しく説明するのは楽なことではない。


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コメント 6

婆

久々にのぞいてみました。
もぐりこんで授業を受けたい・・・
by 婆 (2008-10-21 02:34) 

klaviermusik-koba

いえ、この授業は今期はこれ限りです。
by klaviermusik-koba (2008-10-21 14:20) 

ake_i

最後にもう一度一通り演奏して・・・・
講義を受けた後に、こうして聴くことが出来た学生さんは一生、その演奏と講義を忘れないでしょう。うらやましいです☆
初めに眠っていた学生さんは、もう一度初めからお話を聞きたかったでしょう。

難しいものをわかりやすく説明するというのは、至難。
でも、細かく細かく勉強していくと時間はかかってもつながってくるような気がします。
一つのフレーズ、一つのテーマ、大事に表現出来るようにしたいものです。
それをこの夏、強く実感しました。

現在、心身ともに静養中ですが、じっくり!という言葉を噛みしめながら楽器に向かえるようになりました。
人間って余裕が必要ですね・・・難しいことをするときには特に(笑)
元気です。
by ake_i (2008-10-22 09:45) 

klaviermusik-koba

お久しぶりです。お元気のようで何より。。。ゆっくり静養していると、またピアノが弾きたくなってくるでしょう。

難しい曲をわかりやすく弾くのもこれまた至難。
by klaviermusik-koba (2008-10-22 09:58) 

ake_i

そうなんです。。。弾きたくなってきています。

9月中旬には、相当、頭に養分がなくなっていて、音符も言葉も何がなんだかわからなくなっていました。
10月に入り、ピアノばかりじゃ脳みそも破壊されちゃう(叫)と、違う脳も使うことを心掛けました。
語学、これって良い頭の体操。

そこへきて、体のあちこちの油もなくなってきたようで、体の柔軟性を養うためのリハビリも追加(楽^^)。

随分と御無沙汰をしておりますが、寝たきりではなく、あちこちの脳みそを鍛練しております。(再び、至難へ向かっていくために・・・爆)
また、よろしくお願いします。
by ake_i (2008-10-22 18:59) 

klaviermusik-koba

語学、これはいいとおもいますよ。ドイツ語でも少しやったらどうですか。
英語の基礎が出来ている人は、まあはいりやすいと思います。でも最初、定冠詞の変化からやっているともういやになるねえ。私はそんなものと無縁にドイツ語学びました。
by klaviermusik-koba (2008-10-22 19:48) 

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