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就職事情 [音楽大学]

 私のクラスにいた、MさんがG大の非常勤講師になることになりました。と挨拶に来た。任期は3年だそうである。すこし前にもやはり別の生徒から5年の任期で非常勤講師になった、という報告があった。結構なことではあるのだが、これはいってみればいま問題の派遣社員に似ている。もともと大学の非常勤講師というものは1年契約であり、1年ごとに契約を更新する。10年くらい前までは、ひとたび非常勤講師として採用されれば、特別なことがなければ、暗黙のうちに毎年契約が更新されて、定年まで勤められるのが通例だった。それが10年くらい前から様変わりしだしたのである。3年とか5年とかあらかじめ本人納得の上で決められるのが通例になってきた。常勤の教授でさえ、3年、とか5年とかの期間を限った採用もめずらしくなくなった。これは本来あるはずのないことなのだが、各科の人事の利害調整がうまく行かず、苦肉の策として考え出されたものだ。

 これはいってみれば、ある種のワークシェアリングなのである。就職難のためになるべく多くの人に機会を与え、G大講師、という肩書を一度持てば、のちのちそれなりに恩恵を被る人が増えることになるから、その方がいい、ということのようである。当時私もG大の人事に関する委員長の任に当たっていたから、スッキリとはしないものの、これも時代の流れか、と感じたことを憶えている。それでも一般の企業と違うのは、契約の期間に満たないのに、いきなり、あなたは明日からこなくてよろしい、という理不尽なことがないだけ、まだしもましで、将来の生活の設計は立てやすい。

 一方、逆のこともある。音楽家として大学の給料などに頼る必要のないひとで、大学内のいろいろな雑用に縛られるのにほとほと嫌気がさして、いきなりやめる人も多くはないがときおりある。昨今の何処かの国の首相のようだ。このケースはえてして、大きな音楽的才能の持ち主だから、大学としてやめられては困るのである。雇う方と、雇われる方の雇用のあり方は結局双方の力関係で決まる。この傾向は今後ますます強まることになろう。

追記:さらにもう一人の生徒から非常勤講師採用の知らせが届いた。私のクラスはどうしてこう就職率がいいのでしょうか。まあ全員美人だから、という理由でなければ幸いですが・・・。
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