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CARL FILTSCH(1) [ショパン]

 カール・フィルチュ(1830-1845)の名前を聞いて、ははあ、と思い当たる人は相当なショパン通といっていい。彼の生徒の中ではあまり一般に知られていない名前だからである。フィルチュはショパンの生徒の中でおそらく最大の才能を持っていた弟子と考えられている。しかし、この少年はわずか15歳でこの世を去った。期待の大きかったこの出来事に対するショパンの悲嘆は察するにあまりある。

 フィルチュ13歳の演奏を聴いたショパンが「いったいなんて子だ! これほど私の音楽を良く理解できる人はこれまで見たことがない。彼の演奏は誰のまねでもない。私の演奏を聴いたこともないのに」。ショパンは彼に一年間くらい週3回もレッスンをしたが間もなく「もう私が彼に教えることは何もない」。ショパンが自分と同じかそれ以上の才能、といってはばからないのだ。

 ここで私は考える。歴史のいたずらは面白い。もしフィルチュがショパン並に長生き(!)をしたら多分ショパンを受け継ぐ最大の音楽家として歴史に名を留めたかもしれない。逆にショパンがフィルチュと同じ15歳で亡くなっていたらどうなっていたか。ちなみにフィルチュが亡くなった4年後、ショパンもこの世を去っている。

 私はこれまで知らなかったのだがこの天才少年は既にこの年にして少なくとも一晩のリサイタルに相当するくらいのピアノ作品を残しているらしい。これをある日本のピアニストがフィルチュの作品のみで東京でリサイタルを開くという。何にでも興味を持つ日本人特有の好奇心というやつであろう。おもしろい。私はこれを聞くのを心待ちにしているのである。フィルチュに関する続きは追って報告するつもりでいる。(札幌)
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