センチメンタル・ジャーニー [ショパンコンクール]
当初計画時には全く意識しなかったのたが、妻を同伴したこの旅行、結果的にセンチメンタル・ジャーニー、つまり私の若い頃を思い出す旅になってしまった。もともと私は業績にも、失敗にもあまりこだわらない性格で、ショパンコンクール参加当時のほとんどのことがすでに忘却の彼方にあった。今回のコンクールを「観戦」しながらの妻の最初の感想が「よくまあ若かったとはいえ、こんなシビアな舞台に立とうと云う気になり、しかもそこそこの成績をあげられたものねえ」だった。そう、当時私は23歳、現在の妻とはまだ知り合ってはいないが彼女は当時19歳だったはずである。
ちょうど50年前、1980年当時のまわりの状況から私がショパンコンクールに出場するはめに追い込まれたこと、自分から好きこのんで参加したわけではないことなどを妻に説明しているうちに少しづつ当時の記憶がよみがえってきた。確かにこのようにつぎつぎに出場する天才、奇才を見ていると自分の才能に照らしてみて、誰しもこれはとても無理だと怖じ気づくであろう。
だが当時はそんなこと考える余裕すらなかった。「窮鼠猫を噛む」「火事場のバカぢから」という心境に近かった。私が出場した当時は12人が本選に進んで全員オーケストラとの共演にのぞみ、そのうち6人が入賞、残り6人が入選、ということになり、私は入賞を逸したものの、入選となって、それでも少なからぬ賞金と審査委員長であるルービンシュタインのサイン入りの賞状をルビンシュタイン自身の手から受け取ったのである。当時の悪条件下を考えるなら、これまでの自分の才能と努力の度合いに照らしても「そこそこ」どころか「窮鼠猫を噛んだ」結果の「予想外の上出来」としかいいようがない。
そこで冒頭の写真である。渡航後、初めて投宿した高層ホテル「ワルシャワ」が再開発のため、取り壊されつつあった。あれから50年もたつのだからなあ、と何気なく通り過ぎようとしたが、妻の「これも撮っておいた方がいい」の助言で写真となって残った。
2010-10-20 11:51
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始めまして、abeと申します。Akiraさんのところではコメントを拝見させて頂いてます。
今回のショパン・コンクールの記事を楽しく拝見させて頂いております。由緒ある有名なコンクールなので、どういうものかと興味津々で大変参考になります。
どうかお気を付けてご旅行を続けて下さいませ。
by abe (2010-10-20 18:53)
abeさん
こんばんわ。ショパンコンクールに関しては世の中いろいろ情報はありますが、これはあくまで私個人の狭い体験の範囲内のものですから、どうぞお気軽にお読みください。
by klaviermusik-koba (2010-10-20 22:13)