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ポーランド報告(3) [ショパンコンクール]

 今回の第16回ショパン国際コンクールは世界から600人以上の応募があったと聞く。その中から書類選考、ワルシャワでの予備選、この二つのプレセレクションを通過したものが第1予選に参加でき、正式に参加者としてプログラムに載ることになる。エントリー数81名、第2次まで進んだのが40名、第3次まで進んだのが20名(珍しいことだが第3次で一人棄権者が出た)、ファイナル出場者は10名、という狭き門ではあるが、オリンピックと違うのは国籍やこれまでの実績の如何を問わず、誰にでも門は開かれている。

 とはいえ、実際にプログラムに名前が載るだけでも容易なことではない。日本人と西洋人との大きな気質の違いは、大ざっぱに云うと、日本人は「とりあえずあこがれのショパンコンクールに出場できれば」くらいの感じで、なにがなんでも賞を取るのだ、という意気込みに欠ける傾向がある。一方、ロシア人などははじめから入賞することに狙いを定め、予選だけ通過しても意味がない、と考える。この違いは大きい。今回は特にその彼我の差が決定的に目立ったと云える。

 だがピアノコンクールはオリンピックとは違う。優勝すればそれで生涯の目的を達した、というわけではなく、音楽家としてはそこがスタートラインとなるにすぎない。世に出るための特急券を手にした、というくらいであろう。普通列車に乗った人でも才能のある人はいずれ誰かが認め、音楽家として生涯の終わり近くになっても成功すれば若いときのコンクールの成績など誰も気にしなくなる。そうなって初めてほんもの音楽家と云えるようになるのだ。事実コンクールはほとんどいい成績を収められなかったけれど、優勝者以上に世間から尊敬を集めるようになった音楽家はいくらでもいる。

 多分日本人ほどショパンコンクールが好きな人種もまれである。これはなぜか?いろいろな場面で論議されるが誰にも理由はわからない。ドイツ系、オーストリア系、北欧系、イギリス系の人たちはさほどの関心を示さず、たくさんある国際コンクールの一つとしか見ていない。実は私もその一人なのだが、50年前の偶然の関わりからこうして一生ショパンと縁を持つことになったけれど、実を言えば私の生涯をかけてのライフワークはショパンだけに限った訳でもない。

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