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グラス・ハーモニカの効果 [オペラ]

 このオペラに精通しているわけではないのでドニゼッティの指示通りかどうか正確なところはわからないが、「ルチア狂乱の場」開始の部分にグラス・ハーモニカが使われるとは、ピアノスコアからの予想をこえていたので仰天した。このめずらしい楽器は、例えばごく薄手のワイングラスに水を入れ、濡れた指でグラスの縁を軽くなでるとキーンという独特の響きがすることを経験された方は多いと思うが、これを楽器としてあつかったものである。

 この楽器の歴史は古く、モーツアルトがすでに「グラス・ハーモニカのためのアダージョ」という小品を作曲していて、何10年も前に私はこの東京文化会館で実演に接したことがあるのでよく知っていた。天上から聞こえてくるような独特の響きがあってこの世のものとも思えない美しい響きが出るが、長く聴いていると少しあたまがへんになる効果があるので一時禁止されたことすらあったときく。

 すでに正気を失っているルチアに幻影で恋人のエドガルドと一緒にいて彼の声が聞こえる、という場面でのレチタチーヴォの特殊効果としてこの楽器が使われた。私は最初の1音で即座にグラスハーモニカであることは分かったが、このかなり風変わりな楽器を実際に使い、劇場でいかに驚異的な効果を上げるかをまのあたりにみて、絶頂期の天才ドニゼッティの凄さをみた思いがした。

 

 
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