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1番のソナタ(つづき) [ショパン]

 ショパンの先生であるユゼフ・エルスナーはすぐれた教師であったが、ショパンの才能を必ずしも正確に見抜いていなかった。この1番のソナタもショパン18才の頃エルスナーの指導のもとに書かれたもの。エルスナーは将来、ショパンがオペラを書いて成功することも夢見ていたらしい。ショパンはこういう大形式のものは本質的に得意としていない。ショパンも先生の指導のもと、ソナタを書いてはみたものの自分でも気に入らなかったらしく、生前には出版しなかった。それがどうして作品4という番号が与えられたかは定かでない。

 ただ、この曲が成功していないとしても、若いときにともかく大形式の曲を書くことを経験したのは、のちに充分その経験が生かされたというべきだろう。大苦労をしてをして書いた(大形式の曲を作るときはたいていショパンは大苦労をしているのだが)力作であることはわかる。そういう意味でならエルスナーの指導もあながち見当はずれだったともいえない。この曲の中にもショパン独特の美しい和声と、転調の見事さは見逃せない。そうはいってもピアニストがこの曲を弾きたがらないのは無理矢理ソナタという形式の中にアイデアをごたまぜに詰め込んだ結果、部分的な美しさにもかかわらず全体としてとりとめのないものとなり、苦労するわりには演奏効果も期待出来ないからであろう。

 それでもこれだけはいえる。当時第1級といわれた作曲家でショパンも尊敬していたフンメル、フィールド、アルカン、タールベルク・・・・という人たちの最盛期の作品と比べてもなおかつショパンのこのソナタの方が音楽的価値は高い、と。
(もしかするとまた続く・・・かも)
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イトバク

 昔から珍し物好きの私は中学生の頃密かに譜読みをしたものの、全然弾けるようになりませんでした。
 作品一のロンドもハ短調であるにも関らず以降思い当たる作品が少ない(ノクターンくらいでしょうか)のも不思議です。
by イトバク (2011-07-07 08:19) 

klaviermusik-koba

いや、実はショパンの初期の作品(作品番号の内のも含めて)にわたしははまっているのです。年齢、経験の少なさ、それに加えて実際の経験や教育を受けていくうえで、どのように作風が変わっていくかをみるのは興味のあることです。私たち凡才には計り知れない途方もない飛躍が一作品づつ広がっていくのを見るのは驚きです。
by klaviermusik-koba (2011-07-07 14:53) 

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