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ドン・ジョヴァンニ [オペラ ]

去年のコシ・ファン・トゥッテに続いての芸大オペラ、モーツアルトのドン・ジョヴァンニの公演、とても楽しみにしていた。芸大現役時代には一度も見なかった(見る暇もなかった)。立場上、毎年招待状がとどくので今年は無理を言って妻の席も確保した。(少し権限の乱用か?)切符を買っても大した入場料ではないのだが、判明した時点ではすでにソールドアウトになっていたからである。

オペラとは夢のあるものだが金のかかるものでもある。出し物にもよるが、オペラ関係者に聞いたところでは一公演あたり約一億円前後かかるそうである。単純計算すると、2000人のホールで、一億を観客席の頭数で割れば、一人5万円の入場料を取らないと採算割れになる、ということになる。外国オペラの引っ越し公演など、5万円の入場料でも絶対賄えないのはこれを見ても明らかである。欧米の場合は、国の補助でかなりの部分賄っているからなんとかなっている。日本の場合、多少文化庁の補助はあるものの、基本的に自前である。日本のオペラがここまでの発展を見せたのも、関係者の血のにじむ努力は驚異にあたいする。だが、これも日本の伝統芸能ではないから、突き放した見方をすれば、好きでやっているのになにも税金で賄うこともないでしょ、ということにもなる。

芸大オペラは、出演者は主役はオーディションで選ばれた学生だが、指揮者、オーケストラ、合唱、演出、舞台装置、衣装、歌唱やイタリア語や演技の指導などはプロ集団でもあり、教育目的で出演の学生をバックアップしている。それらはどういう名目であれ、国家予算でほぼまかなわれているから、ある意味、国立オペラ、といえないこともない。だが独立法人化した旧国立大学の予算は厳しい。そんな悪条件下、よくやっているなあ、と賛嘆の念を禁じ得ない。これが3000円程度の入場料で見られるなら、そしてその公演の出来栄えから見ても絶対お得で、すぐソールドアウトになるのもうなずける。

公演は、オペラに関しては半素人の私にも充分楽しめた。多くの時間的、金銭的、人的、空間的制約を乗り越え、大学の内情をなまじっか知っているだけに感無量であった。あとで知ったことだが、レポレロの大役を立派にこなした学生は、神戸女学院大学、札幌大谷大学でご縁のある声楽家N先生のご子息であることを知って、血筋は争えないなあ、の感を深くした。
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Takamoto

第1幕フィナーレの「3つの拍子」の箇所演奏はいかがでしたでしょうか?教えて頂ければ幸甚です。
by Takamoto (2012-10-01 23:25) 

klaviermusik-koba

Takamoto様

第1幕のフィナーレについては私も危惧していたのですが、ステージが狭いのと、装置が固定したまま動かせない,などの制約があって、全部オケピットで演奏されました。演奏は指揮者から近いこともあって,この方が楽でしょうが、効果としてはいまいちです。

第2幕の「もう飛ぶまいぞこの蝶々」の回想の場面ではスコア通りステージ上で演奏されました。芸大奏楽堂はオペラのために作られていませんので、舞台裏,というのも使いづらいので、やむを得ずああなったのだと思います。ついでに、ドン・ジョヴァンニのマンドリンのオブリガートもピット内でした。
by klaviermusik-koba (2012-10-02 09:25) 

Takamoto

演奏状況が目に浮かぶ情景をありがとうございました。
by Takamoto (2012-10-06 00:29) 

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