SSブログ

領土問題 [政治]

 第二次大戦後、ドイツは領土であった東のシレジア地方はポーランド,西はアルザス地方をフランスと領土問題の対立をかかえていたが、メンツや歴史や,という問題をさておき、大局的な見地から両国とは比較的早く領土問題を解決した。いまはぼろぼろになっているが、1960年度私がドイツで購入した当時最新の地図ではシレジア地方はドイツ領と記され、目下ポーランドの政権下にある、と但し書きがついている。しかし、これらをメンツを捨てて早く解決したおかげで、それ以来、この3カ国の関係は安定したいい状態にあるばかりか,経済的効果も計り知れない。

 日中韓はドイツとはまた違う事情もかかえてはいるから同じには行かないが、ドイツの先例はもっと参考にしてもいいのではないか。最近の新聞や雑誌に戦争をしても固有の領土は死守すべき,という論調が強いが,これはあまり言い過ぎると利害関係を持たない他の国にも日本が支持されるようになるとは思えない。何度も言うようだが,たかが小さな離れ島で、人命や、経済関係を不利にするごときはどの国のためにもならない。ドイツは島どころか、領土の1/3もポーランドに譲渡するはめになったのである。そこに住んでいた何百万人のドイツ人の運命は辛酸をきわめた。ドイツは領土問題でも計り知れない大きな犠牲を払ったのである。ちなみにブレスラウ、という誇り高い旧ドイツの都市はいまはポーランド風にフロツワフ、と呼ばれている。

 これは今の日本人は忘れがちであるが、第2次世界大戦での戦勝国のうち,中国はただ一つ、日本に対する賠償を放棄した国であることも思い起こす必要はある。私は親中でも嫌中でもない。もとより,いまの中国のやり方にも問題は多いことは確かだが、いまの日本は急に右傾化してきたマスコミのあり方のほうが、私には心配でならない。これまでも戦争に導く張本人はいつもマスコミであった,ということは肝に銘じておいた方がいい。
nice!(2)  コメント(5)  トラックバック(0) 

nice! 2

コメント 5

HUH

 全く同感です。
 テレビも新聞も週刊誌も、見出しを見るだけでも気が重くなります。相手の国に関する悪いニュースなら、些細な、全国ニュースにするレベルのものでなくとも大げさに報道し、芸能人から政治家まで、まるで踏絵のように、あいつは親日、あいつは反日と騒ぎ立て、はては戦争したら勝てる!、あんな国から手を引いても経済は大丈夫!という報道ぶり。
 異常な事態だと思いますが、それが異常と認識されていないなら、まさに恐ろしいと思います。
by HUH (2012-10-04 21:43) 

klaviermusik-koba

このところ面白くないニュースばかりですが、東京駅のオープン、久々の嬉しいニュースです。近いからいつでもいける、と思ってまだ見ていないのですが、ぜひゆっくりみたいとおもいます。
by klaviermusik-koba (2012-10-05 09:28) 

Takamoto

韓国との竹島問題、ロシアとの北方四島問題について、ドイツのポーランドへの領土放棄を参考にして、放棄して友好関係を強める、のはとても有効であり、問題の根本解決に至る、と思います。
他国が「実効支配」している島を「自国支配」にするには武力行使しか無いワケであり、平和憲法に基づく日本国憲法に合致していないと感じます。
中国は「日本が竹島領有主張するなら、中国も尖閣諸島領有主張しても、矛盾は一切生じない」の論法を繰り広げていますし、全く無関係の国から見れば、日本の態度はおかしく見える、です。
小林仁先生のように影響力の強い方が論陣を張って頂けると、右傾化中の日本がもっとより良くなって行く、と感じている次第です。
by Takamoto (2012-10-06 00:40) 

klaviermusik-koba

私が何か発信しても所詮ゴマメの歯ぎしりにすぎませんが、それでも国民の声の一つとして、何も言わない、というのはだめで、私はあと長くは生きないにしても、戦争体験世代として、ものをいう義務感のようなものはあるのです。どういう「正義」があろうと、戦争ほど庶民がバカを見るものはないのです。戦争だ、と威勢のいい人は「戦争によっても自分は死なないでいい立場にある」人ばかりですから。

私は自分の孫の世代、その友人たち、恋人たちを戦争で死なせたくはありません。彼らの死によって年寄りが安全でいられるとしても、です。
by klaviermusik-koba (2012-10-07 08:53) 

Takamoto

ありがとうございます。私は影響力が無いのが「無念」です。小林仁先生が率先して指導してくだされば幸いです。
by Takamoto (2012-10-07 22:26) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

ドン・ジョヴァンニ秋田新幹線 ブログトップ

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。