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バッハに非ず [Literature]

山田耕筰と並ぶ日本の作曲界の大御所である「信時潔」の生前の文集、対談集をまとめたもの。信時潔の孫娘にあたる信時裕子さんが編集し,一冊の本にまとめたもの。この本が一般の人,もしくはピアニストにどこまで興味をもたれるかはわからないが、私は大変興味深く、また、いろいろと考えさせられるところも多かった。

ピアニストの立場としていうならば、信時潔のピアノ作品はピアノ曲として、きちんとした構成をもち、音楽内容も多々味わい深いものをもった、多分、日本人として最初のピアノ曲の作曲家,という意味での評価に充分耐えうる作品だと思うからでもある。信時先生はちょうど私が東京芸術大学の学生として入学したときに定年退官されていることもあって直接お目にかかったことはない。

この本を読むと、信時先生がどれほどバッハを敬愛されていたかがわかるが、それだけではなく、本の中や話の中でで出てくる作曲家の範囲が、ワーグナー、バルトーク、シェーンベルク、メシアンにまで及んでいることで、バッハだけをとってみても、当時日本ではほとんど知られていなかった協会カンタータやオルガン音楽まで、あらゆる曲が例として出てくるので、その時代に育った私の目を当時に置き換えてみてもいかに広い見識の持ち主であったかがわかる。「私は基本的にクラシック」という言葉には私自身がそうだということもあって、共感できるくだりが大変多い。
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