初代マイカー [古い旅のアルバム]
この年にいたるまでずいぶん色々な車を経験してきたが、これは私が名実ともに所有した初代のマイカー。よくまあ、バッテリーが上がったり、ファンベルトがきれたり、最後にはエンジンそのものがおシャカになったり、とさんざん泣かされた車だがそれだけに印象も強烈で、今となってはなつかしい。1956年型のカブトムシである。この年代の外観的特徴としてフロント・リアグラスが小さい。もう一つの特徴は、ウインカーが古い映画で見られるような機械式で腕木が横に飛び出るシステム。さすがにこれは時代遅れとなり、途中で法規が変って現在のようなテールランプの中に黄色の方向指示ランプが組み込まれる方式に改造が義務付けられた。もう一つ、今では信じ難い話だが燃料計がない。満タンにした時を覚えていないと突然ガス欠になる!
当時、VWは一つのエンジンの耐久距離が10万キロ、とも言われていた。ちょうど10万キロのところで予定通り(?)エンジンがダウンした。旅行中であり、デットモルトという町でエンジンを載せ替えるため工場入りして、1週間滞在を余儀なくされた。
だが、これはタダの中古のカブトムシではない。初代の所有者が指揮者の小沢征爾さん、2代目が作曲家の石井真木さん、と続いて3代目の所有者が私、という因縁のあるモノ。それともう1台、一時的ではあったが、指揮者の岩城宏之さんの車もまかされていた。「バッテリーが上がるからオレのいないあいだ、君に使っていてもらいたい、ブッツケるのは自由。おれ、ちょっと通れそうにないと思うところでもむりやり、ガリガリって通っちゃうんだ」というだけあっていたるところ傷だらけの黒のカブトムシ。見てくれは悪いがこの方が車自体の状態は故障は少なく、マシだったようである。
この映像はミュンヘンから200キロくらい離れた、私の家主のいなかの親戚を訪ねたときのもの。だいぶんミュンヘンの方言にも慣れた、と思っていたが、ここの田舎の言葉は私にはほとんど理解できなかったが、同行した家族がちゃんとしたドイツ語に通訳してくれたから会話は辛うじて通じた。
2013-07-30 20:50
nice!(2)
コメント(0)
トラックバック(0)
コメント 0