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防空識別圏 [国際問題]

歴史を長い目で見るならそう驚くことではない。史上世界最大の識別圏は(当時は防空、という概念はなかったから)大航海時代、スペインとポルトガルが地球を縦に線を引き、地球をこの半分づつ、俺とお前のものにしよう、と勝手に決めてしまったのが史上最大の「識別圏」であろう。むちゃくちゃな話ではあるが、いくらローマ帝国やビザンチン帝国が侵略を重ねて領土を広げたといっても発想のスケールが違う。

その視点からいまの事象を見るなら、経済力をつけてきた中国が、このチャンスに自分のテリトリーをできる限り拡大させよう、と考えるのは歴史的に見てもある意味自然なのだが、いかにも時代錯誤である。日本が当然反発するのは折り込み済みで、中国政府はそんなもの屁とも思っていない。問題はアメリカで、アメリカがこの海域を守るのがどの程度本気か、というのを見るために風呂敷を広げてみた、というあたりかもしれない。

だがこのところの世界の反応を見ると、中国のこのやり方に賛成する国はひとつもない。アメリカは日本を守るため、というより、自分の国益のためただちに行動に出たのが理由の80%で、残りの20%が日本のため、ということをはっきり示してしまった。中国にとってもここまではっきりさせるのはまずかったのである。イギリスのファイナンシャルタイムズはすでに、信じられない愚挙、と社説を載せている。習近平の権力基盤は盤石とはいえないし、軍部が暴走をする危険性はたぶんにある。当分日米・中のにらみ合いが続くであろう。さりとて一旦広げた風呂敷を中国が引っ込めることはないとみなければならない。日本のとるべき道は、ならぬ堪忍、するが堪忍、ここはことをかまえず、可能な限り世界の世論を味方に付けるよう行動するのが最大の防御になる、と私は考える。

ひとつ気になるのは民間航空で、「識別圏」を通過したからすぐに撃ち落とす、という無茶はいくら中国でもそれはないと思うが、乗客の安全を第一に考える航空会社として、万一のことがあってはならないからどうするのだろうか。台湾行きにも、香港行きにもだいぶん回り道をせざるを得ない。
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