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万年筆 [プライベート]

「万年筆」ももう死語になっていると思われた。世の中、物を書くにもだいたいパソコンか、鉛筆か、ボールペンであって、万年筆を使っている、というのはごく少数派に過ぎない。しかし、伊東屋あたりの店頭で見る限り、まだまだ立派な万年筆を売られているところをみると、それなりの根強い需要はあるのかもしれない。

ふと思い立ってずいぶん昔から眠っていたパーカーの万年筆を探しだし、少し手入れをしてインクを入れ直し書いてみると、これが実に楽しく、字をかいているうちに心が休まるのである。ボールペンは確かに便利だがどこか味気なく、「字を書く楽しみ」を与えてくれない。万年筆は自分の筆圧が微妙に紙に伝わり、アナログの良さを満喫できる。ピアノに例えると電子ピアノとグランドピアノほどの違いがある。電子ピアノからはタッチの絶妙のコントロールは期待すべくもないが、アナログピアノは、たとえアップライトピアノであっても心の表現ができるという点では全く別物である。ボールペンはとりあえず楽に字がかけるが、万年筆はそれに表情が加わる、という点で全く別物である。「字が生きる」とでもいおうか。

年末になると、職業柄、いろいろお歳暮が届くが、これまでお礼状書きは妻のパソコンにまかせきりになっていた。少し時間も余裕ができたので今年は、せめて宛名くらいは自筆で書こう、と思い立ったのである。やってみると、同じ自筆でもボールペンではどこか味気ない。万年筆の方が下手な字なりに味が出るのである。これももっと凝り始めると、墨をすって毛筆で書けばもっと「字を書く」という事の大切さに心が及ぶ気がする。 万年筆のインクは昔はスポイトで吸い上げる方式だったが、流石に今はカートリッジになっていて楽になり、インク瓶は置かなくてすむ。万年筆は大事なことを久々に思い出させてくれた気がした。
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darkhorse

僕も万年筆を愛用しています.30歳くらいから始めました.良いものですよ.時代はカートリッジでした.でもスポイト式も一本欲しいなと思っています.
by darkhorse (2015-12-25 06:39) 

klaviermusik-koba

同好の士がいらして嬉しく思います。昔の万年筆全盛の時代は、ごく高級なものを除いて、安いものはうまくインクが出なかったり、ペンが粗悪で書きづらいなど、欠点も多かったのですが、いいものはやはり廃れないのですね。
by klaviermusik-koba (2015-12-25 12:19) 

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