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シューマンピアノ6重奏版 [ピアノ音楽]

シューマンのピアノ五重奏作品44にコントラバスを加えた6重奏の形のヴァージョンが昨日初めて初演された。読響のコントラバシスト、高山健児さんの依頼によるもので、現代のピアノに弦楽四重奏という組み合わせは、この曲が作曲された1842年当時のまだ金属フレームのない時代のピアノとの組み合わせではちょうどいいバランスだったと思われるが、頑丈な鋳物の金属フレームを持つ現代のコンサートグランドの音量と対抗するには弦楽器が少し物足りない、ということは私自身かねがね演奏する都度感じて来た。

これらの事情を考えず,シューマンの書いたスコアを金科玉条のごとく、ただその通りに弾き続けるだけが本当に伝統に忠実なものかどうか、誰も疑問に思わないのが不思議と言えば不思議。若い時は,自分の演奏がいたらないせい,と思い,なんとかしようと随分苦労もしたが,本来のバランスの悪さは克服できないで来た。高山さんも同じことを考えていたらしく、シューマンの音楽を損なわない範囲でコントラバスによる補強がうまくできないだろうか、という相談である。

私も少し自信がなかったのでとりあえず、第一楽章で試しにやって見て、その結果次第で先を続けるかどうかを決めよう、と考えた。試演の結果、意外とこれがピッタリとハマるのである。現代のピアノと弦楽器群が無理なくいいバランスを保つことができる。私は自信を得て、残りの全楽章を一気に書き上げた。その編曲初演が昨日だったのである。自分で言うのも変だが、こんなにいいバランスでこの曲が聞けることに我ながら全く驚いた次第。バシストの高山さんの喜びようが並ではないのをみて、私もとても嬉しかった。後で聞けば、高山さんもやはり編曲マニアであると知った。この、ひとくせも、ふたくせもある人物から、このコンバスパートの書法は全く非の打ち所がない、と言われて嬉しくないわけがない。

このパートはかなり技術的にも難しく書いたかな、と思ったが、彼はそれに挑戦して、彼はもうほとんど暗譜で弾ける、というところまでさらった、そこまでしても頑張る価値がある、といってくれた。
考えてみればモーツアルトの「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」は当然のごとく今ではコンバスで補強されて演奏される。おなじことがこの曲にも当てはまる、というのは独りよがりに過ぎるだろうか。ともあれ、これをみんなに知ってほしい、という高山さんの熱意でCDに録音することが決まった。いつになるかわからないが楽しみである。




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