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音楽家は楽譜でものを考える [音楽全般]

数学者は数字や記号でものを考える。文学者は言葉や文字でものを考える。同じように音楽家は楽譜で物事を考える。なぜなら、数字や文字が記号であるのと同様、楽譜も記号であるからだ。子供の頃、まだ文字も読めない頃から楽譜に親しんでいると、自然と音楽家は楽譜で物事を考える習慣がついてしまっている。私は理数系が苦手だが、案外アインシュタインのように、音楽と理数系は近い、と考える人は多い。

楽譜の読めない人は、あんなもの、と顔をしかめる人が多いが、そういう人には、楽譜を記号と考えるからわからないのであって、模様として、絵として眺めることから勧めている。いい音楽は楽譜も素晴らしく美しい。よくない音楽は楽譜も綺麗でない。我々音楽家のよく使う言葉に「譜面づら」という言葉がある。作曲家の池ノ内友次郎先生がその最右翼だが、譜面づらが美しくない音楽はよく響かない、とよく言われていた。この言葉は案外奥が深い。確かに、ラヴェルの「ダフニスとクローエ」のオーケストラスコアは単に抽象絵画して眺めてもほれぼれするほど美しい。

私は算数が苦手で、ぼけているかどうかのテストに100から順に7を引いて行く、という課題があるが、一回目はできるがそれ以下になるともうおぼつかなくなる。これは若い時からそうであったから、今できないからといってボケた証拠にはならない。もう時効だから言っても差し支えないと思うが、歴史の時間、何が嫌かといえば、年代、年号を覚えなければならない、という経験をお持ちの方もあろう。私は、これを音符に置き換えて読み、さらにカンニングペーパーには音符に加え、伴奏和声までつけて筆箱に忍ばせておいたものだ。そこまでせずとも、音で覚えた方が覚えやすく、忘れにくい。なにさま、あんな複雑な楽譜を覚えて一晩楽譜も見ずにピアノを弾くのが職業だから。例えばフランス革命ならド、シ、ド、レ、1789といふうに。0は休符。これを音に置き換えてみるとなかなか音楽的なパッセージになるから忘れようがない。うちの電話番号、パスワードなどは音楽的なメロディになるよう、あらかじめ選んであるから、音楽的な人には覚えやすいが、情報の流出にもつながるから痛し痒しでもある。
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K.

先生、この記事には大変な共感と安堵を覚えます。
私も数字が大っ変に苦手でして。才能のレベルではなく病気かと思うほど。

友達の電話番号もタッチと音で覚えてます(^○^)、但しこちらはプッシュホンの音ですが。

先生も数学が苦手と伺い、ほっとしました。でも私には敵わないと思いますが(^ー゜)、
by K. (2016-01-26 07:51) 

klaviermusik-koba

いや、あなたが数字が苦手なわけない、そういう教育がされなかっただけです。私の数字苦手は天性のもの。
by klaviermusik-koba (2016-01-26 18:25) 

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