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広島市電(2) [鉄道一般]

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 広島市電でまだまだ頑張っている旧京都市電である。しかもいまだかなりの量数が存在していて、各電車には個別に「鞍馬」「舞妓」といった京都を彷彿とイメージさせる表示板がつけられているのは楽しい。これなら、誰にでも旧京都市電だということが一目でわかるし、鉄道に興味のない人にも車両の由来に興味も持ってもらえるかもしれない。もっと面白いのはナンバリングで、単両は1000番台、3両連接のものは3000番台、5両連接のものは5000番台、としろうとにもまことにわかりやすい。

 慣れればわかる、とは言うものの、車両により乗車口がいくつもあるものがあって戸惑うことが多いから、とりあえずきた電車の前面のナンバーを見ればだいたいどのあたりに乗車口がくるかわかる(?)仕組みになっている。さらに停留所には行き先別に、あと何分で目的の電車が到着するか、までわかる表示がある。やはりここまで経営努力をして初めて市民の足として信頼を得ることができるのだなあ、とあらためて感じ入った。

震災後の三陸鉄道 [鉄道一般]

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(北リアス線・宮古駅・2010年夏)
 ほとんど壊滅状態で再起不可能ではないか、と思われた三陸鉄道の北リアス線で久慈を起点として3駅間ではあるものの、運行が再開された、と新聞で報じられたのはうれしい。北リアス線は三陸鉄道の中では一番あとに開業したので、ほとんどの部分がトンネルで、わずかに顔を出す山間部に駅があるから津波の影響は受けていないはず。ただ、路線は地震の影響は大きいものの、車両自体は一両も損傷を受けていない、とのことで希望は見える気がする。

 この北リアス線始発駅の宮古や釜石、陸前山田、大船渡、気仙沼などのわずかな海際の平地にへばりつくようにある三陸鉄道の拠点となる主要駅や路線はほとんどが津波で壊滅状態にあると思う。しかしこういう有事の際、三陸鉄道が復旧すれば地域復興に大きな役割を果たすのではないか。これからどうなるか固唾をのんで見守っているところである。ひなびているがこの花いっぱいの美しい宮古の駅も半年前の姿が跡形もないと思うと胸がつぶれる思いがする。

九州新幹線(2) [鉄道一般]

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「さくら」普通車内

残念ながら雨である。広島までずっと悪天候のなかを「さくら」は走り続けたが半分はトンネルだから外の景色はほとんど見えない。

落ち着いたところで8両全部を視察して歩いてみる。路線の状態はさすがに一番新しいだけあって横揺れが少ないのがいい。私の席は4Dで車端に近いが横揺れをあまり感じない。グリーン車は半車で24席しかないが、半分も埋まっていない。普通指定席とあまり実質違わないからグリーン料金を払う意味はあまりないからかもしれない。まして九州内の移動時間を考えれば、ゆったりくつろいでいるほどのひまもない。普通車の座席とおなじ広さで、その差といえばシートピッチがやや広いことと、革製のシートが立派であること、絨毯があること、内装が少し暗く落ち着いたムードがある、くらい。

すばらしいのはトイレなどの付属設備。男性用の便器はフランスから輸入したものらしくデザインとして美しいのがいい。仮に大阪から博多まで移動するなら迷うことなく「のぞみ」ではなく「さくら」を使うのが得策。JR東海の「のぞみ」もせめてこのレベルになれば普通車も世界トップレベル、といえるようになるのだが、まあ無理でしょうねえ。客がほぼ入れ替わるほど乗降客が多いのは博多、熊本、広島、の順になる。
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(鹿児島中央駅)

九州新幹線 [鉄道一般]

 3月12日に九州新幹線が全通する。まことに私は運が良く、開通から間もない1週間のち、3月19日に鹿児島での仕事がすでにはいっており、21日には広島で別な仕事が入っていて、20日のうちに広島に入っていてください、といわれている。これは新幹線の鹿児島中央ー東京間を全部通して乗ってみる理想的なチャンスではないか。九州新幹線開通に伴う改正の新ダイヤにはいろいろの列車パターンがあるようで、どの列車に乗ってみるか、どの車両に乗ってみるか、今から悩んでいる。

 停車駅の少ない最速の「みずほ」もいいがそれでは停車駅を観察出来ない。1日あいているのだから、各駅停車の「つばめ」に乗ってじっくり各駅を観察するのも悪くない。でも新しい800系にものってみたいしどれにしよう、と思うとピアノを練習していても手につかないのだ。

 4列のゆったりした普通席の指定席にするか、グリーン車にするか。じつは山陽新幹線の700系ひかりにはまだ乗ったことがないので、4列の指定席車にも乗ってみたい。4列の指定席車は以前に鹿児島中央ー新八代間は乗っているが、実にゆったりしていて、これ以上のサービスが必要なのか、と思ったくらい普通車は充実している。ただし、新八代まではあっという間だったのでゆっくり観察するひまもなかった。今度は広島までだからどの列車で行くかにもよるが正味3時間くらいは楽しめそうである。

 東北新幹線の青森までの乗車は「グラン・クラス」もそろそろ開業。札幌からの帰りにグランクラスを含めた全線JRで帰京する、という方策を今練っているところ。

ポーランドの鉄道(2) [鉄道一般]

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(どちらも1960年3月ワルシャワ・チェントラルナ駅で私が撮影したもの。当時は現在のように地下ではなく地上駅であり、架線は見えるものの、私が乗車しようとしたこの列車は蒸気牽引だったことがわかる)

 ここで舞台は50年前のワルシャワに戻る。なぜそういう気になったかというとたった1日の日帰り旅行の間にあれ? と思うことに2、3遭遇したからである。一つはクラクフ駅に到着した機関車を撮影しようとしたとき、駅員に制止されたのだ。一体なぜだ? こんなことは社会主義時代の統制厳しいときにさえ、経験しなかった。当時にあっても軍事施設や橋りょうなど特別な施設が入らない限り、禁止された記憶はない。その証拠がこれらの写真である。ともあれ、クラクフで予定していた写真撮影は遠慮がちなものにならざるを得なかった。折角の撮影日和だったのに残念!

 もう一つ、帰りの列車で。1等客には茶菓のサービスがある。ワルシャワに帰り着くのが9時半頃になるので食堂車で夕食をすませておこうということになり、サービスの女性に「食堂車は営業しているか?」と尋ねた。「ヤー」の答えが返ってきたので30分ばかりあとに出かけたら、ほぼ満席だったが、一つだけ「予約席」のフダがあるテーブルがあった。しかし我々は予約した訳ではないので、やむなく、空いているカウンター席でサンドイッチでも食べよう、ということになった。ところが、である。女性はフダを取り下げ、「いや、これはあなた方のためのものです」さらに、そこで飲み食いした料金の一切を受け取らなかったのだ。これは今もって理由がわかっていない。確かに私はポーランド観光局のある上層の人と面識はあるが、今回の旅行は本来の仕事を抜け出してのお忍び旅行である。そこまで手が回るはずがない。なぜだ?

ポーランド報告(1) [鉄道一般]

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 すっかりご無沙汰してしまったので一体何からご報告していいやらわかりません。もちろんショパンコンクールがその主題になるはずです。が現時点ではコンクールはまだ終了しておらず、ファイナルに残った10人のピアニストの顔ぶれを確認しただけです。なのでまず何よりもこの幻想的な写真からごらんいただきます。

 ポーランドの古都、クラクフ中央駅の秋の夕暮れ、暑くもなく寒くもない季節の素晴らしい幻想的な景色をごらんいただいてから、ピアノ、音楽、そしてポーランドの鉄道事情などを私の見たままを少しづつご紹介することにいたします。鉄道駅に関してこれほど幻想的な場面にはそうたびたびは遭遇しません。今日まだ帰ったばかりなのでこれだけにしますが音楽にせよ、鉄道にせよ、デザインにせよ、これが現代のポーランドの象徴的な姿だと思うからです。

札幌市電 [鉄道一般]

 長年札幌に行っているにもかかわらず、札幌市電について書いたことがない、というより、そもそも乗ったことすらなかったのだ。札幌の人に聞いても、あることは知っているが乗ったことはない、という人が多い。地下鉄が発達したので、順次廃止の憂き目にあい、いまでは西4丁目からすすきのまで、約8,7キロの区間のみが営業している。土曜日の午後、ひまになったので乗ってみることにした。

 途中に藻岩山という札幌の観光名所(目下閉鎖中)のロープウエイに接続するためだけに残っているのだろう、と思っていたが実際はかなり市民の足として利用されているようである。なにしろ車両は釣り掛け式、それもかなり古いものなのでモーター音もなつかしいし、ブレーキを掛けたあとにコンプレッサーが盛大に働いて、車内じゅうに響き渡る「ゴンゴンゴンゴンゴンゴン、ゴーオン、ゴーオン、オン、オン、オン、ン、ン、ン、ンーーー・・・・・・・」という、あれなのだ。土曜日の昼間のせいか、結構利用客はあり、立っている人も多い。私も始めてこれに「全区間」乗って「札幌市内見物」をした気分になった。だがこの路線はほぼ「コ」の字形をしていて、長い時間乗った割には結局始発駅からほんの少し離れたところに終着駅がある、という奇妙な線形をしている。もう博物館的存在、と思いきや、路線を延長する、という計画すらあるようなのだ。これ以上どこにのばす余地があるのだろうか。

 ある意味、東京に残っている都電とにたような役目を果たしているのかも知れない。

エコノミストの「鉄道の世紀」 [鉄道一般]

 「エコノミスト」などふだん私は滅多に読まないが、鉄道特集、ということなので買ってみた。一読してみるとふだん、日本とドイツの鉄道雑誌などから得ている知識には意外な盲点があったことを知らされた。鉄道、ないしは鉄道模型雑誌はどちらも「日本とその周辺」「ドイツとその周辺」の域を出ず、グローバルに鉄道を見る、という観点が欠けていたことを痛感した。まだ発売中である。鉄道に興味をお持ちの方のご一読をおすすめする。

(1)鉄道といえば先進国だけのもの、と考えがちだったのが、いまや、新興国の交通渋滞と大気汚染によって、都市交通であれ、遠距離であれ、鉄道の導入を考えないわけに行かないところに来ている。
(2)ここからが「エコノミスト」たるところなのだが、鉄道ビジネスはこれからどうなる、というのを世界の3大メーカー、カナダの「ボンバルディア」、フランスの「アルストム」、ドイツの「ジーメンス」に日本の連合メーカーを加えた鉄道ビジネスの世界戦略についての考察。

以上が大略の内容である。知っているようで意外と知らなかったことが沢山盛られている。

 たとえば、新幹線のような電車方式とTGVやICEのような機関車牽引方式では、エネルギー消費量が電車方式では半分以下ですむこと。ヨーロッパの車両のほうが座席がゆったりしている、と漠然と思っていたが、座席間隔では新幹線のN700が1040mm、ICE3が920mmと新幹線は意外と座席が広いのである。また、日本は国鉄時代から人を詰め込めるだけ詰め込む、という思想から抜けきっていない、とこのブログで批判したことがあったが、かならずしも最近のデータではそうではないことが明らかになった。環境的に不利な点はあっても日本も結構頑張っているなあ、というのが全体の感想である。

 そのほか、日本の新幹線システムを外国に売り込むにあたって、新幹線のシステムで独立しているJR東海と、新幹線と在来線を乗り入れている(ゲージの問題はあっても)JR東日本とは売り込み方に温度差があって、必ずしも一枚岩でないこと、などなど興味深い記事は多い。

ワイングラス [鉄道一般]

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スイスを旅行された方、ははあ、とお思いになることだろう。レーティシェバーンの食堂車で売っている急勾配グッズである。ただし、実際の食事にこのワイングラスが供されるわけでもないし、ふつうのワイングラスが置けないほど急勾配を走るわけではない。氷河急行の通るいちばん急勾配でもせいぜい220パーミルくらいだからこんな斜めに傾いたグラスは必要ではない。それをいうならスープ皿やコーヒーカップもそうでなければならないであろう。それに、勾配はいつもこのワイングラス方向に傾いているわけではないから、いずれにせよ、実用にはならない。

私たちは沿線の中で実際に一番勾配が急なAndermatt-Göschenenのところで客車の窓際に置いてワインを注いで試してみたのだ。案外これはやってみるとサマになっていて、そうオーバースケールで作られているわけではない。もし一番急勾配の鉄道であるPilatusbahnではこれよりもっと傾けなければならないかも知れない。記念写真も撮ったはずだが残念ながら探しても見あたらない。いくつかおみやげに買ったが知人に配って我が家には現在これ一つしか残っていない。

ICE、もう一つの事故 [鉄道一般]

 以前にブログでドイツの高速列車ICE-3のケルン駅構内の車軸折損事故について触れた。あれ以来、懸命な原因追及が行われているが、まだ真の原因はつかめていない。車軸自体だけの問題なのか、あるいはもしかするとそれ以外の原因も合わせた複合的なものかも知れない。日本の新幹線、あるいはフランスのTGVではこれまでそんな例が報告されていないからだ。

 もう一つの事故、これも日本では知られていないが、上記の事故より数ヶ月前、Fulda-Würzburg間の新線のトンネル内で起きた。日本では考えにくい事故だが、約20匹の羊の群がトンネル内に進入し、ICE885に衝突、4人の乗客が重傷、15人が軽傷を負った。ICE-1の先頭機関車は大破し、8両の客車も脱線した。一匹の羊なら列車を脱線させることは出来ないが、20匹ならば大きな岩石が落下したショックに相当する。なぜ羊の群れがトンネルに入り込んだか?これも原因は不明だが、線路に進入防止の柵がなかったからだ。日本の新幹線はあらゆるところにその対策は施されているのにドイツではなぜそれがない?多分コストの問題だ、とリポーターは推測しているが。

 これも以前に、ICEが200キロ以上のスピードで走るところに防護柵もなく、踏切さえある、と私は仰天したことを書いたが、その心配が現実のものになったわけで大変残念に思う。人間が線路内に勝手に入りこんで事故に遭うのはヨーロッパでは自己責任、とされているが、羊に自己責任を負わせるわけにはいかない。ひどい目に遭うのは人間の方なのだ(もちろん羊もだが)。確かに線路際にみっともない柵があるのは景観上いただけない、コストもかかる。しかし列車の安全を考えればそうもいっていられないであろう。

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