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古典調律法 [ピアノ音楽]

 今年も恒例のとまり村のコンサートが楽しく終了した。かつて私のクラスに在籍したS君がクラヴィコードを東京からわざわざ運んでインヴェンション2声を全曲演奏をしたのを興味深く聞いた。

 私は古典調律についての詳しい知識はない。当日もキルンベルガーだったか、ミーントーンだったか、バッハ律たっだか、ともかく1オクターブを均等に分割した平均率とは違うわけだから、多かれ少なかれ、どれかの調にしわよせがいって、ハ長調を中心とした調性から遠くなるにしたがって、不愉快な響きがおおく生ずることになる。そのかわり、3度や5度はある限られた調の範囲では実に美しい響きが得られる。

 インヴェンションを全曲となるとどうしてもその差は顕著になる。だから当時の転調は限られた範囲でしか行われなかったのは当然で、フーガの作り方の規範もそれを前提としたものになる。だから平均率クラヴィア曲集にせよ、インヴェンションにせよ、全曲を通して弾く習慣などはおそらくなく、調律した調性にうまくあった調だけの範囲の曲を選んで演奏したのだろう。

 フラットやシャープが5つも6つもある調性や遠隔転調がごく普通に行われるようになるには、平均率が音楽の世界共通の認識として確立しない限りは不可能なのだ。そうやって考えてみると、「フーガの技法」の中でバッハがあえて行ったような、かなりな遠隔調への転調は当時は一般にはとても受け入れられなかったことは容易に想像はつく。途方もないことだったのだ。

(追記)Das Wohltemperierte Klavier、 直訳すれば、「よく調律されたピアノ」という題名は、実体に即して考えればバッハが考えた「修正された調律法」なのだろうから「平均率」という訳はやはりしっくり来ない。さりとてもっと適切な訳語もさしあたりみあたらない。困った困った・・・。


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コメント 2

makkie60

私のG大同級生で、作曲科を出た後ピアノ技術に転進、主として”古典調律”を生業にして居る者が居ます。遠き京都の幼稚園の一年先輩なので、一度利用させて貰おうかとも思うのですが、何分”平均律調律”に慣れた、いや慣らされた身、常に”いったいどの位もつのか?”と謂う疑問を持っています。昔技術の方に伺った折、調律して(平均律)保てるのは、精々20分くらい、後は人間の耳の”慣れ”と聞いたことがあります。本番のみなら兎も角、普段用には、と思うのですが・・・・・あ、師匠は”BOESENDORFER”がYAMAHAに買収され、子会社になった件、どう思われますか?私は、お互いに悪くない、と軽く考えて居るのですが・・・・・店子マッキー
by makkie60 (2007-12-30 11:38) 

klaviermusik-koba

まあヤマハは資金があるからいいのじゃないですか。メルクリンが外資に買収されたのを見ても分かるとおり、質が落ちるとも考えられない。
調律に関しては、いくら厳密に調律してもそう長くは持ちません。
まあ私もチェンバロ弾いても平均率でないとなんかキモい。
by klaviermusik-koba (2007-12-30 17:22) 

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