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非常食としてのパン・日常食としてのパン [グルメ]

 パンの世界は奥が深い。何千年も世界の多数の国でそれぞれの国でとれる素材を生かしながら、あれこれ工夫を重ねてきたものだから当然といえば当然。私の知る限りでパンに関しての一番古い文献は旧約聖書で,例の出エジプト紀である。モーセにひきいられてエジプトの奴隷生活から脱出し、カナンの土地へむかう。パン種を仕込む時間の余裕がなくて種なしパンを焼いて食糧にする、というくだりである。

 話は現代に戻るが、日本のホテルはどんな立派なホテルでも、でてくるパンの種類は本当に限られる。ホテルのパンで満足したことは一度もない。そのために長期滞在には自分でパンを持ち込む、ということにもなるのだが。まあ日本は米文化の国だから、ヨーロッパなみのパンを要求する方が悪いのであって、いわば無い物ねだりだ、ということも分かる。だから地方のホテルなどでは、美味しいパンが朝食にでてくることはまず望み薄だから、やむを得ず日本食の朝飯、となる。

 ヨーロッパ旅行の楽しみの一つはそれぞれの違った国でいろいろなパンに接することが出来ることだ。スーパーをのぞいてもその種類の圧倒的な多さにまず驚かされる。パンとチーズと多少のワインがあれば食事は済ませられるから、ある意味、ヨーロッパ旅行は食事の思い悩む必要はない。一月ぐらい米を食わなくても私はどうということはないのだ。でも帰国するとまずお寿司屋に行く。やはり米はうまいねえ、となるところが何とも矛盾しているのだが。

 パンとなればやはり焼きたてのパンが何といっても一番、ということになるが、私が昔ドイツで一人暮らしをはじめ、近所のパン屋にパンを買いに出かけると、大まかに言ってDunkel(真っ黒のパン) Halbdunkel(半分黒いパン)とがあって、必ず店主から、今日焼いたのにしますか、昨日のにしますか、と聞かれるのだ。最初は変なこと聞くなあ、と思ったものだが、黒パンは焼きたてよりは2,3日たったものがいちばん味わいがでてくることがだんだんわかってきて、店主の質問にも納得がいった。

 日本では事情がちがう。1日たった黒パンは近くのスーパーでは割引で値段が安くなっている。やすくて、そのほうが美味しい、となれば私は当然それを選ぶ。でもそれを過ぎると賞味期限切れとかで店頭からは姿を消してしまう。廃棄処分にされるのだろうか、ともかくもったいない話で、うちではまず普通の冷蔵庫で1週間は持たせる。さすがに1週間に近くなると味は落ちてくるから、それ以上保存する必要のあるときは見計らって最初から冷凍してしまう。いわば我が家ではパンは日常食であると同時に非常事態に備えた保存食でもある。ドイツ直輸入の黒パンもあるし、かんづめの黒パンもあり、これなどまさに非常食として役立つ。


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