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フーガの技法(7) [ピアノ音楽]

 5,6,7番はひとグループにくくることが出来る。テーマを付点化する、という変奏から発生したもので、わけても6番のフーガは面白い。譜例はわかりやすくするために、普通のリズムに簡略化してあるが、これを付点リズムにする、という発想の時点で、すでにこのフーガ最大の特徴である、フランス風序曲のスタイルが暗示される。テーマの最後のリズムを細分化してゆくと自然に譜例の下に記したフランス風序曲のリズムに到達するのだ。(18小節目、バス)

 答唱は主題の半分の時価,反転形のものを、1小節遅れで提示し、それぞれのテーマの一番中央の音が同時にくるよう設定された、シンメトリカルな構造で、9回の主題提示のうちの5回がこのストレッタにあてられている。「フーガ」と「フランス風序曲」という、一見全くかけ離れた形式を一体化させるのは、よくある例だが、ポリリズム(複合リズム)ポリトナール(複調)という言葉はあるが、ポリフォルム{?)複形式、という言葉があるのかどうか、私は寡聞にして知らない。

 これを鍵盤楽器で演奏するには若干の問題が生ずる。付点のリズムを、楽譜どおり性格に弾くか、当時の序曲の演奏法に準じて通常のテーマも複付点に弾くか、ということである。鍵盤楽器で弾くには楽譜どおりに正確に弾くのはかなり困難である。曲の最後は5声になり、終止は7声にまで拡大される。形式の面白さと美しさ、という点で際だった楽しさを味わうことが出来る一曲である。
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