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国鉄を民営6社に分割したのは正解だったか [鉄道全般]

 東京と札幌を往復することが多く、その度に東京と地方の格差を肌身に感じることは多い。とくに鉄道はどんなに努力しても人口の絶対数の格差による業績の差はいかんともしがたい。昔は北海道にも旧国鉄以外にも私鉄はたくさんあった。それらはいまやすべてなくなり、国鉄も民営化されてから、採算の合わないローカル線がいくつかは第3セクター方式で残ったが、それも、順次廃止され、もうこれ以上は切れないほどまでに、鉄道は少なくなった。

 残った旧国鉄の路線も営業として成り立っているのは札幌を中心としたいくつかの路線だけで、それすら札幌ー帯広ー釧路、札幌ー函館のようなど、わずかなドル箱路線も航空機やバスに脅かされている。文字通り営業として成り立つ黒字路線だけが、生き残ればいい、というシビアな見方をするなら、もういくらも残らなくなり、アメリカやカナダみたいになってしまう。ヨーロッパのいくつかの国のように線路会社と運行会社にわける、いわゆる上下分離方式は、この格差をなくするにはある程度の効果はあろうが、それでも限度があるのは私たちの知る通りである。

一方、エコロジーの観点からすれば絶対鉄道が有利なので、将来ガソリンが1リッター500円にもなれば鉄道も見直されようが、それではもう遅いのである。やはりどんなに努力しても黒字転換は難しい会社は、もうかっている会社からある程度の補助をするのはどうか、とある政治家が言ってJR東海などから総スカンを食ったが、あながちこれはモノを知らない政治家のたわごと、と言い切れないところもある。北海道はもうこれ以上は廃止できない、ギリギリの線まで来ているが、それでも将来業績が良くなり、株式上場される見通しは明るくはない。(札幌)
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コメント 4

Akira

これを語るには鉄道そのものの存在意義のコンセンサスが必要でしょう。例えばフランスの様に憲法で移動の自由が保証されている国では居住地から何メートル以内に公共交通機関の駅がなければならないというようなことで、市民の移動手段は約束されている訳です。

ところが独立採算でやらなければならない日本の場合は、赤字だから廃止するという事になる訳です。かと言って黒字になってはいけないということで、鉄道会社などはにっちもさっちも出来ない状態です。JR北海道などがそうでしょう。また、今でも「のぞみ」に乗る事ができないJapan Railpassは、JR東海が実入りの少ないパスを持つ外国人観光客を乗せないということで、何のためのパス?とも思います。要は、鉄道会社は黒字化させることが最大の目的となってしまっていること。道路にはお金をたくさんつぎ込んでも鉄道には税金を使わない...なんておかしいと思う訳です。


心配なのは、本当にこのままの原油の上昇が続けば300円/lなんてあながち絶対ないなんて言えないです。そうなった時自動車を運転する人は公共交通に流れ、お金をつぎ込んで作った道路は閑散となるかも知れません。また、自動車免許などいつ取り上げられるかわからないですし、これから高齢者が増え自動車を運転できない人が増えた時、どうするのか?公共交通は赤字だから廃止しましたではシャレにもなりません。
そんなことを昨日の特別授業で討論していました。

私は東独のひどい状況を身にしみて体験しているので社会主義を絶賛しませんが、投資家によってのみ原油の価格が上昇し、そのツケを最終的に原油利用している市民が負担するのを考える時、資本主義が完璧だなんてとても思えません。確かフロイトだったか、資本主義を上回ることが出来るのは文化かも知れないという話を聞いた事がありますが、文化レベルで日本を見る時ヤバいなぁと思う訳です。
雑文大変失礼しました。
by Akira (2008-05-18 17:59) 

klaviermusik-koba

この問題は、結局政治問題に行き着くのでしょうが、日本は道路、鉄道、航空、船舶などの交通を総合的に考えることが出来なくて、ヨーロッパに比べてそれぞれの得意分野をうまく棲み分けることが出来ないようです。そうかといってヨーロッパではなにもかもうまく行っている、というふうに考えるのもまた行き過ぎです。問題は多いものの、世界の都市交通の中では東京や大阪は比較的うまく行っているほうではないか、と思います。

これだけの鉄道ネットが張り巡らされているおかげで、ある部分が事故で不通になっても代替手段がいくらでもある、ということは暮らしやすいこと、ともつながります。スイスのように私鉄の輸送手段があるところはバスの運行を認めない、というのは一見合理的ではありますが、いったんことがあるとき代替手段がないのは困りものです。Zermatt-bahnが災害で不通になったときそれを痛感しました。

問題は不便な地方の交通手段です。北海道もそうですが、私の山荘のある南相木村では、村営バスが、1日数回、これがただ一つの交通手段なので、たいていの家は車を2,3台持っているのですが、これもガソリンが高くなったり、自分で運転できない高齢者が増えて大変です。昔は小海の駅まで1日かけて歩いたそうですが、またそんな時代がくるのでしょうか。難しい問題です。
by klaviermusik-koba (2008-05-19 09:12) 

Akira

私はご存知の様に東京生まれの東京育ちでしたが、今の場所に移ってから地方の交通問題を特に意識するようになりました。
私の住む町は、少し前迄はドイツで言えばKarlsruheとほぼ同じ人口で鉄道の拠点駅でもあります。(今は合併が進みさらに増えてます)しかし、東京迄新幹線で1時間で行けるとはいえ、自宅から駅迄のアクセスの悪さは考えものです。
東京やその他大都市では公共交通が整備されて、色々と問題があるにせよインフラが整っています。しかし、それ以外の地方都市の数の方が遥かに遥かに多いのも事実です。

ドイツのような分散都市構造ではないですが、あまりに酷い状況に何度か市役所にも掛け合って話はしました。でも私の話に理解はしても実際に行うのは難しいとなります。その難しさの原因が担当部所長の自己保身だったりすると、もうやりきれない思いを残すだけです。
by Akira (2008-05-19 15:10) 

klaviermusik-koba

そういえば高崎とKarlsruheは地理的にも文化的にも共通点がいくつもありますね。その比較、面白いと思います。高崎もKarlsruheもいまも鉄道、高速道路のDreieckの中心にあり、空港からも遠い、それと都市の人口的規模という点で似ていますね。ただミュンヘンからフランクフルトへ抜けるには、高速線が開通しましたから Karlsruheは地理的条件が多少変わりましたが、何といっても市電がDBAGの路線を高速で走る、ずば抜けた特徴があります。私個人的には、これまで高崎も、Karlsruheも同じくらいの回数訪れており、まあある程度知っているといえば知っている、知らないといえばあまり知らない、という点でも似ています。

違うのは高崎には市電がない(でもその代わり上毛電鉄がある)というくらいでしょうが、列車が高崎に近づくと巨大な操車場がみえてきて、マニアとしては楽しみなところではあるのです。せっかくakiraさんのような人がいるのですから、市役所の役人も少しは耳を傾ければいいと思いますが、なるほど、と思っても実行にはなかなか移せないのが役所の実態です。懲りずに、チャンスがあればしつこく、もの申してください。役所も急には変われないでしょうが、やはり住人のいうことは門外漢がいうのとは説得力が違います。まして広い見聞をお持ちのakiraさんのことですから、いずれ何らかの変化はかならずあらわれると思います。私もエールを送ります。
by klaviermusik-koba (2008-05-19 20:39) 

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