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ソマリアの海賊船 [旅行]

 ドイツの客船が乗客を海賊の人質に取られないように、アデンで乗客を下船させて、空路輸送した、という新聞記事を見て、なぜそんなヤバい海域をクルーズするツアーをやるのか、と私は不思議に思った。そもそも危険を冒してまでクルーズしてそんなに面白いところとも思えないのだ。アラビア半島のシナイ山を見るなら別の方法があろう。

 ソマリア沖、とくにアデン湾海域は危険なことは周知の事実のはずである。45年も前、私はフランス客船でスエズから紅海を通ってあの海域を旅行し、アデンに3日間滞在したので、あのあたりは、下船して多少見物もしたからいささか見覚えがある。何しろ、紅海からアデンに抜ける地域は、両側は砂漠であり、昔から安全であった時期はない。「インドには、まだ泥棒がいる、という程度だが、エジプトはみんな泥棒だからなあ」とどこかの旅行記で読んだことがある。これはいくら何でもオーバーだと思うけれど、エジプトのさきのソマリアが現在無政府状態で一般航行が危険きわまりないため、海賊対策で自衛隊にまで協力が求められているのだ。

 45年前はそれでもあのあたりはまだしも政治的にはいまよりはマシな状態にあった。でも夏は酷暑の地域であり、船のデッキにものの10分もたっていると海上とはいえ、熱風で頭がおかしくなるほど熱い。だから乗客は船室に閉じこもったきり誰もデッキなどにはでない。あんな暑いところで、よく海賊業をやる元気が出るなあ、とあきれるほどである。アデンの町中はそれでも局部的に緑のあるオアシス的存在なので、まだしも過ごしやすいのだがともかく日本では想像を絶する暑さ、そこでは海賊も、それを取り締まる方も、並の体力ではつとまらない。あんなところで拉致されたら文字通り地獄である。
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