SSブログ

最近のピアノ学生 [ピアノ音楽]

 どうもよくわからないことが多い。昨日ショパンの1番のコンチェルトを持ってきた学生がいたのだが、もう3ヶ月さらっている、というのにテンポがやたら遅い、というよりまだ曲の体をまったくなしていないのである。ピアノをひくのはやめて最近の勉強歴を聴いてみた。「何を最近練習した?」「チャイコフスキーのコンチェルト、ラフマニノフの2番のソナタ、リストのダンテ」。
 
立派な曲ばかりである。いまのこの状況でこれらの難曲が弾けるとはとうてい思えないのだが、でもチャイコフスキーのほうがやさしい、と彼女はいう。

 「じゃあ、これまで古典のもの、ハイドン、モーツアルト、ベートーヴェンの作品は?」と聞くとしばらく考え、「全然やった記憶がありません」という。「中くらいの難しさのもの、例えばシューベルトの即興曲やメンデルスゾーンの無言歌のようなもの、ショパンのノクターン、などは?」ときけば「考えてみたこともありません」とこともなげにいう。

 チェルニーの40番を終えたぐらいのところで、いきなりスクリャービンとか始めるのだが、私の常識ではそんなので歯が立つはずがない、と思えるのだが、不思議とそれでも何とか格好がついてしまうことがある。私はもう古い人間であることは自覚しているが、なんか異星人と接しているような錯覚をおぼえることが最近多い。

 それかあらぬか、たまたまレオナルド・ゲルバーが来学していて公開講座をやっているのをのぞいてみた。いわれていることはどれもごく初歩的なことばかりで、指をきちんとあげなさい、とかフレーズを心を込めて歌うこと、とかまあ普通のピアノの先生ならいいそうなことばかりなのだが、学生は四苦八苦しているのをみてやっぱりなぁ、と思った。こういう基本的技術は古典をきちんと勉強することによってしか身に付かないものなのだ。(神戸)

 

nice!(1)  コメント(0)  トラックバック(0) 

nice! 1

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

箕面有馬電気軌道人生の楽しみ ブログトップ

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。