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氷河急行の事故(2) [鉄道全般]

 どうもまだよく納得出来ないことが多い。事故調査委員会はスピード制限が30キロから55キロにかわった時点より以前にスピードを上げすぎたのが原因、と結論づけた、という。Fieschという駅、私はこの駅から一度列車に乗ったこともあり、この区間も何度か乗っているのでおおよそどんなところかは想像がつく。この路線中一番の難所、フルカ越えは長大なフルカ・ベーシス・トンネル完工以来、年間通して安定運転することが出来るようになった。

 このあたりもカーブは多くスピードは出せないが、通常制限速度にはいくらかの巾を持たせているから、多少速めにスピードを上げたことで、ただちにあれほどの大事故につながるのだろうか。おなじ狭軌線でも福知山線の事故とは全く状況がちがう。

 フルカ・オーバーアルプ鉄道は開通当時から冬季、何度も雪崩にあい、駅ごと谷に突き落とされたりと、惨憺たる歴史を持っている。昔は冬は運行しないのが当たり前だった大変な路線で、現在の安全な路線は過去の多くの人命の犠牲と血のにじむ労苦のうえに築かれたものである。現在は夏場の観光路線となっている、雪崩を避けるため、冬場は折り畳んでしまうステッフェンバッハ橋などにその痕跡を見ることが出来る。いまやすっかり近代化された快適な観光列車に乗る乗客はどんな過酷な歴史でこの鉄道が造られたかはほとんど誰も知らない。それだけに今回の自然災害ではない人為ミスの事故が残念でならない。

 現時点でここよりはるかに危険と思えるヘアピンカーブが連続する、RhBベルニナ線で起こった事故であれば私もさもありなん、とも思う。Fiesch-Lax間はサンモーリッツからツェルマットの路線のなかでは、比較的安定して運転出来る区間だ、と思っていた。この程度の速度超過だけで単純に起こる事故と割り切るには私はどうしても疑問が残ってしまう。
IMG_0928.jpg
(やや旧型だが氷河急行の事故が起こったFO時代の1等車のモデル・BEMO)
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