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またも全勝! [旅行]

いかに運のいい私も今度ばかりはもうダメだろうとあきらめかけた。

ポカのはじまりは、予定の前日朝、私は一日、間違えて羽田に来てしまったのだ。アナウンスで「札幌は大雪でどの便も羽田へひき返すこともあり得る」という条件だったが、今日はどの便もめずらしく満員で2便あとの座席がやっと取れた。しかしこれでは大学の会議に間に合わないので副手の女性に「今日の会議は遅刻します」と留守電を入れた。折り返し返事があり、「先生、会議は明日ですよう」といわれてびっくりして手帳を見たらその通りで、今日の午後の私の予定は二つのアポイントが東京である。あわてて車でふたたび自宅に戻った。

 翌日、つまり今日である。きけば昨日の札幌便はほとんどが羽田に引き返したか、欠航になった、という。そのあふれた乗客で午前中はすべて満席、とのこと。それでもあきらめず受付の女性とやりとりし、女性がパソコンをたたいているうちに奇跡的に一つ座席が空いた。座席はゲットしたのである。またもやラッキー! だがハードルはまだある。札幌の天候は昨日と同じか、それより悪い、出発はするが羽田に戻る可能性はやはり高い、という。

 かくて私をのせた777−300機は千歳の上空近くまできた。機長のアナウンスがあり、「お知らせ申し上げます。千歳の滑走路は大雪のため現在二本とも閉鎖中で、除雪の最中ですがこの飛行機の燃料の限度もあり、これから15分空中待機してその時点で着陸不能と判断されたら羽田に戻りますので、ご了解ください」。やっぱりダメか。
  
 そして限度ぎりぎり15分後のアナウンス。いよいよ引き返すことになるか、と覚悟を決めたが「やっとなんとか着陸できるくらいの除雪ができたので着陸いたします」機内からは一斉に拍手が起こった。それにしてもこの着陸は見事だった。あたりは吹雪で窓の外は何も見えず、それにランウエイにはまだ30センチくらいの雪が残ったままの着陸である。こんなのいままで見たことない。私は感激してキャビン・アテンダントに、「すばらしい決断と着陸だった、ありがとう,こんな経験初めてです、と機長に伝えて下さい」といって777−300機をあとにした。

昨日、かりに間違えて飛行機に乗ったとしても、どのみち全便羽田に戻るか,欠航かで札幌には着けなかったにちがいない。おかげで私は午後の東京のアポイントもキャンセルせず何食わぬ顔で対応し,おまけに床屋にもいく時間の余裕までできた。 満点! (札幌)
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