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田村宏先生 [ピアノ音楽]

 一つの時代が終わった、というべきであろう。田村先生がピアニストとしてスタートされた頃の日本は、室内楽というものが今日ほど市民権を持っていなかった時代、ピアノはソロこそが本領で室内楽、伴奏はいわば二流のピアニストの仕事,と思われていた時代である。一生をこの仕事のために捧げられ、室内楽というものの地位を現在に至るまでに引き上げられたことは、田村先生の最大の功績であろう。

 一方教育の面でもすぐれた門下生を輩出し、その厳しい指導は有名であったが、いまの時代にあっても多分それは必要とされるものだ。生徒の顔色をうかがい、ご機嫌を取りながらやらなければ先生業がなりたたない今日は先生にとってばかりではなく,生徒にとっても不幸な時代である。

 私も芸大の学生時代から,教授時代までを通じて,ひとかたならぬお世話になった。いつも反論ばかりしている生意気な後輩ではあったが格別おこられもせず、何かことがおこったときはいつも私の味方になって下さった。芸大時代の想い出はすべて田村先生抜きに語れない。偉大な先輩を失った,という寂寥感でいっぱいである。  
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コメント 2

ake_i

>生徒の顔色をうかがい、ご機嫌を取りながらやらなければ先生業がなりたたない今日
本当にそう思います。
田村先生のことは高校時代から知人によく聞いていました。
私は、先生が私の機嫌をとらないこと、それが今の自分があると思っています。ありがとうございます。
なんかこのブログにそぐわないコメント、ごめんなさい。
by ake_i (2011-05-24 22:46) 

klaviermusik-koba

これも時代の流れで、その中で自分を曲げないでなんとかやっていくことも必要なのでしょう。昔のスパルタ式の教育は反省すべき点も多々あります。これは世界的傾向でもあります。
by klaviermusik-koba (2011-05-25 14:11) 

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