諸井誠：ピアノ協奏曲

　二月くらい前だと思うが、諸井誠さんのピアノコンチェルトを、あなたが以前N響と演奏されたものをＣＤにして発売したいが、了承してくださるだろうか、という電話が入った。ずいぶん昔の話なので私はてっきり、NHKに放送初演の録音が残っていて、それを使うのだろう、と早合点して詳しくは聞かずに了承した。

　ところが製品としてできあがって届いたのを見たら、東京文化会館、Ｎ響臨時演奏会、とある。なんとライブ録音なのである。これはしまった、実は私はこの時の録音が存在することも知らず、自分で聞いたこともなかった。チェックもしていない録音だから果たして、一体どんな演奏をしていたものやら、とおそるおそる聞いてみた。ところがこれ、自分でも信じがたい演奏している。３０分もかかる大曲、難曲にもかかわらず、オーケストラとも一体となり、ミスもなくほぼ完璧なのだ。記録によれば１９６７年１１月２９日、とあるから私の３１才の時の演奏、ということになる。

　何しろ、私はまだ若く、こわいもの知らずの時代のコンサートの実況録音。第２楽章の即興演奏などもまあよくやるなあ、とまるで人ごとのように聞いた。諸井さんの作品、こうして今客観的に聞いてみると実に新鮮な作品でこれだけのコンチェルトがかける人がいま日本にどれだけいるだろうか、とも思う。つらつら振り返ってみると：

放送初演： N響　指揮　森　正
コンサート初演：Ｎ響　東京文化会館　指揮　森　正
レコーディング：読響　指揮　若杉　弘
都響定期演奏会：都響　（指揮が誰だったか思い出せないがこれも多分若杉さんだったのではないか）

と、この４回は演奏している。このＣＤには若いときの諸井さん、矢代秋雄さん、森正さんの鼎談も一部入っていてなつかしい。

コメント 5

kobaさんこんばんは。
とっても興味があり、ぜひ聞かせて頂きたいものです。
１９６７といえば私が生まれた年ですのでｗ
by abe (2011-08-26 20:25) 

　abeさん、おはようございます。

私も手元に少しとっておきたいのですが、誰に頼めばいいのかわからない始末です。ＮＨＫ「現代の音楽」アーカイブシリーズの「諸井誠」の作品集の中にあるのですがhttp://naxos.jpナクソス・ジャパンが販売元、とあります。私の手元には見本版しかないのですぐ差し上げられないのが残念です。この次お会いするまでに取り寄せられれば差し上げられると思いますが今のところよくわかりません。
by klaviermusik-koba (2011-08-27 11:43) 

kobaさんありがとうございます。
通販で注文しました。届くのを楽しみにしております。
お手数お掛けし申し訳ありませんでした。
by abe (2011-08-28 08:40) 

買いますね。
by イトバク (2011-08-28 22:03) 

abeさん、イトバクさんコメントありがとうございます。

このＣＤの解説書の中で諸井さんと私の出会いというところで、諸井さんのコメントでは、盛岡の講演会、云々、とある一件は多分諸井さんの記憶違いで、九州は湯布院、「杉の井」という温泉旅館の大広間でヤマハの講師対象の「インヴェンションの分析講座」だったと思います。インベンションの話と演奏の後で、クーラウのソナチネ（これまた諸井さんの記憶違い）を１曲弾くように、という彼の要望でそうしたのだと思います。そこで諸井さんを少しビックリさせてやれ、という私のいたずら心からカデンツを即興したのがきっかけで、後に作曲されることになるピアノコンチェルトの第２楽章で私の即興の場所をもうけることにつながった、というのが真相です。諸井さんについてはもう１項目、ブログを書きます。
by klaviermusik-koba (2011-08-29 11:41)