ヒメシャラ堂

　昔、私のクラスにいた学生、Cさんが建築家Oさんと結婚し、二人の間にはすでに大学生と高校受験を目前に控えている二人の娘さんがいる。昨年、堺市に新しく小規模ながらコンサートホールをもつ邸宅を新築したので、一度ぜひ、ということでご招待を受けた。せっかく来るなら講座と公開レッスンを、ということで、私のかつての学生たち、またその孫弟子、まで含めて、集まり、まだ時期は早いがプレ喜寿のお祝いもかねる、とかで大変なことになった。

　建築家が自宅と、ホールをかねる邸宅を設計、建造されたわけだが、私はこういうデザインにも人並み以上には興味はあり、この新邸の感想をいちいち書き留めると際限がない。中庭をはさんだヨーロッパの建物が基本的イメージだが、一言でいって全体から、細部の家具、小物に到るまで、徹底した統一感と美しさで貫かれている。それだけではなく、料理、接客、といったソフトの面でも同じで、こういう経験をしたのは、何年か前、故大賀典雄さんが逗子の別宅に招待されたとき以来、記憶にない。このまる二日間、私はしゃべり続け、ほとんど躁状態にあった気がする。気の置けない人たちとの会話がはずみ、あっという間に過ぎた。

　今回はためしにとりあえずはショパンについて講演をしてみたが、ご主人が建築家なので、この次は、バロック音楽とバロック建築やその時代の文化を中心に対談形式で話を進め、「バッハのインベンションの公開講座」という世の中ありふれたものをはるかに超えたバロック談義をやろう、という話も持ち上がっている。


ヒメシャラ堂の詳細については以下のブログを参照してください
http://blog.so-net.ne.jp/picnic_on_the_piano/

コメント 2

美しい理想的なお宅ですね。
お写真拝見するだけで、うっとりしました。
by sanae t. (2011-11-04 06:37) 

お宅も素晴らしかったけれど、楽しい語らいができたのが何よりでした。外国生活を経験した人が多いので、話題はドイツやイタリアはもちろん、アメリカ、トルコ、チュニジア、中国、などと世界中をかけ回りました。
by klaviermusik-koba (2011-11-04 19:59)