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NYのスタインウエイ  [ピアノ音楽]

 今年はどういうわけかピアノの狂い方がひどい。狂うだけでなくアクションの動きが鈍く、音は伸びず、要するに全部の体調が悪い。通常うちのように40年も経たスタインウエイは安定していて、少々の気温や湿度の変化にも平気で、知らない間に2年くらい調律もしていないことがある。

 これは我が家だけの現象かと思っていたら、よそのどこのピアノを見てもあまり調子が良さそうに見えない。もっともコンサートホールのピアノは毎日のように整調しているからそこまではひどくならない。そんなわけで季節はずれだが、整調、調律を依頼したのである。やっとピアノは息を吹き返した。

 中でもひどかったのがニューヨークのスタインウエイである。これも30年以上が経過し、安定しているはずだが、今年はがたがたになり、使用に耐えなくなった。このスタインウエイはもともと構造が特殊でアクションの関節部のスチールのピンを巻くのに通常はフェルトが使われているものだが、このピアノにはテフロンが使われている。テフロンは気温や湿度に左右されにくく、ほとんど摩耗しない、という長所はあるが、アクションの材料は木だから当然木は気温や湿度により微妙に伸び縮みがある。テフロンとのすきまにどうしてもわずかながらガタができ、雑音のもとになったり、タッチが不揃いになったり、何よりレピュテーションに弱いという欠点がある。

 いつも調律をお願いしているTさんに相談したら、テフロンの関節部をフェルトにとりかえることを提案された。これにはアクションをしばらく工場に入れなくてはならないので、その間弾けないし、相当な費用もかかる。ただスタインウエイという楽器は不思議な楽器で手を入れれば、それだけの効果は必ず見込めるので、やってみる価値はあるだろうと思っている。もともとこの楽器は特殊だから、買ったときに、ダメならアクションごとハンブルク製のものに入れ替えることも考慮に入れていたのだ。おそすぎたともいえる。

 ピアノが好きだった亡父の遺産を整理したらなにがしかのお金がのこった。残されたお金で父が好きだったピアノにして残しておこうと思ったものなので、私としては思い入れのある楽器なのだ。30年以上前の話で、ピアノで残したのは正解だったと思う。現金で置いておいたらとっくに消えてしまっていたであろうから。
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