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ゾルターン・ジュンジュシ氏の訃報 [札幌大谷大学]

 札幌大谷大学に外人講師としてこれまで3回来日してこられたフルーティストのゾルターン・ジュンジュシ(日本語で「真珠」という意味らしい)氏急逝のメールがはいったのは暮れも押し迫った30日だった。ほんの1週間ばかり前に彼の演奏に接し、ゆっくりと話を交わしたばっかりだったので衝撃を受けた。ハンガリー人だから、言葉が通じないとお互い思いこんでいたのが、ドイツ語が通じる、とわかってからは、堰を切ったようにいろいろな会話を交わした。

 日本のフルーティストの中でもあまり知られていない人物ではないかと思うのだが、その演奏は気品にみちた、私がこれまで誰からも聴いたことのないようなフルートの音楽だった。とくに低音部の言葉に尽くせない弱音の美しさが耳に残っている。ご本人の話では、かつてベルリン・フィルにいたのだが、考えるところがあってベルリンから故郷のブダペストに移り住んだ。「ベルリン・フィルの方が、あらゆる面でいい生活ができたはずなのにどうして?」と問う私に彼はこう答えたものだ。「確かにベルリンは快適だが、自分はハンガリー人なので何かしら、あそこのオケには違和感があり、ハンガリーにいて仕事をした方が本来の自分に合った仕事ができる気がすると思ったから」。

 あまりに演奏が素晴らしかったので、私はひそかに、来年度の「とまりむら」に彼にゲストとしてきて演奏してもらおう、と考えていた矢先だったので言葉もない。死因は車を運転していての交通事故だそうである。音楽学部長名でリスト音楽院院長にあてて送った弔慰のメールに丁重な返事が来た。大意は以下の通り。

「みんなの尊敬を集めていた得難い音楽家でした。札幌であなた方の前で演奏したのが彼の最後の演奏となったのです。彼には二人の大学生の子供が残されたが、妻は難病で入院治療中。彼らの生活を何とかしなければならないので、私たちもそうする予定だが、札幌でもチャリティコンサートなどで少しでも資金を集められないだろうか」。

 音楽学部ではさっそくその方向に向けて動き出している。特に札幌大谷大学の音楽学部の先生や学生のみなさん、ご協力をぜひお願いいたします。
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