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クリスティーネ [古い旅のアルバム]

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ブログの古い写真集の中心をなしている「鉄」はこのあたりで少し一服。

1960年前後の日本と言えば「奇蹟の成長」が始まったばかりで、「メガネをかけてカメラをぶら下げている」のが典型的日本人、と揶揄された時代だった。私が間借りをしていたドイツの家庭はTVもなく、車もなく、カメラもなかった。まあ当時ドイツのごく平均的家庭だったといえる。そのため、何かあると私のキャノンは重宝され、私は求めに応じて何でも写し、それをプリントして手渡していた。この愛らしいクリスティーネ、多分現在では60才くらいにはなっているはずである。この家族のただ一人の初孫、小学校に入学したときの記念の一枚。精一杯おめかしをして、彼女のお父さんの愛車の前で写真におさまった。赤いVWと緑のドレスのコントラストも実に鮮やかに撮れて、大変喜ばれたものだが、いまではだいぶん色があせている。

この孫娘は私になついてくれ、よくしゃべるのだが、子供は私が外国人でドイツ語は大変、という意識などない。バイエルンの方言、しかも早口でおかまいなしにしゃべるので、半分も理解できない。それでもなぜか、彼女とはウマがあったのである。私はここではほとんど家族同然に扱われていたので冠婚葬祭、すべて一通りの儀式にも付き合った。おじいちゃんが亡くなったときなどは、私は家族の一員として、4人しか担げない棺を担ぐ一人の役を担ったほどであった。はからずも「葬送行進曲のテンポ」を身をもって学んだわけである。

下の写真は愛犬のスーシ、クリスティーネと裏庭でとったものらしく、当時ののどかな南ドイツの家庭生活が伝わってくる。このシャッターを押したのは誰だったろうか。クリスティーネとはその後、彼女が成人して結婚後まもない頃、そのご主人と一度顔を合わせている。家の前の道路、まだ舗装もされていないでこぼこ道であることにもご注目。私はよく「この悪路を車で走るには100キロ以上か、30キロ以下でないとね」と冗談を言っていた。
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Akira

こんばんは、kobaさん。

貴重なカラー写真をありがとうございます。60年代と言えば、日本でも自家用車を持つ家は多くはなかったとは思います。カメラについては分かりませんが、当時の日独比較をするとすれば、同じようなスピードで歩みを進めて来たようにも思えます。ただ、私がドイツに滞在していた時には日本の経済成長(スピード)はドイツ以上に奇跡的と認識されていました。ここで最初の画像のVW Käferを見て気づいたのですが、これは(EU規格の)現在のナンバープレートの1世代前のものと同じです。日本ではナンバープレートでは、東京・品川なら「東」->「品」->「品川」(更に番号も「5」「55」「77」「500」と変化)と次々変わったのに対して、ドイツのそれは同じで問題がなかったということでしょう。そして物質的には豊かになった両国ですが、この画像からは、現在の庭先の風景とはあまり変わらないような気もします。それが、日独の違いなのかも知れません。
by Akira (2013-06-27 21:02) 

klaviermusik-koba

akiraさん

おはようございます。カブトムシのナンバーまで観察しませんでしたが、そう言われれば、この時代のものは簡素ですね。EUになってからの車のナンバーは当然コンピュータ管理でしょうが、鉄道車両のようにあまり長い文字や数字が並ぶと一般に人には不都合が多いでしょうから、そのあたりは考えているのだと思います。

戦後ドイツは国策としてまず国民の「住」を最優先し、日本は「経済」を最優先した結果、この時代でも一般道路はこのような未舗装が多くても、住宅は立派でこの家の敷地も優に200坪くらいはあったと思いますし、その近所も似たようなもので、それでも高級住宅地ともいえなかったと思います。戦後立てたこの家も改装こそすれ、いまも立派に機能しています。日本はバラックとまでいかずとも、貧弱な住宅で何回、新築を繰り返したことでしょうか。一番カルチャーショックを受けたのは両国の住宅政策で、その天と地ほどの差に唖然としたものです。

当時日本はTV、カメラ、洗濯機など「ソフト」はドイツにはるかに先行していましたが、肝心の「ハード」が一番後回しだったのが、両国の決定的な違いだったと思います。鴨長明の方丈記以来、災害の多い日本では「いつでも自由に移動できるよう、住むところは簡素に」という思想の違いもあるのでしょう。

by klaviermusik-koba (2013-06-28 09:36) 

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