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車両航送 [古い旅のアルバム]

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「車両航送」という言葉自体「死語」はおろか、「歴史上」の言葉となっている。日本では50年以上も昔、青森行きの夜行急行が1本しかなかった時代、上野駅に待機中の青森行きの列車の最後尾に、ただ1両「札幌行」のサボをつけた白帯の「一等寝台車」(3等級時代である!)を、なにかもう、どこか遠くの外国へでもいくような夢の客車、といったまなざしで眺めたものだ。この車両ともう1両、手荷物車だけが青森から青函連絡船に乗せられて函館に渡る。これが私が日本で見た最後の航送車両となった。

ヨーロッパでは少なくなりつつあるとはいえ、「車両航送」はいまもまだ生きている(であろう)。イタリア本土からシチリアにわたるフェリーに列車ごと積み込んで、メッシーナ海峡を渡り、対岸のメッシーナで列車はパレルモとカターニャの2方向に分かれて直通運転をしている。私たち家族はレンタカーを積んで、フェリーに乗り込んだが、この写真はその際に見た「航送風景」。記憶は正確ではないかも知れないが、当時の時刻表の記憶ではたしか、ナポリとローマからそれぞれ一日一本づつ、シチリア直通の列車があったようである。

写真は私たちはすでにフェリーの甲板上にいて、そこから船の中に吸い込まれてゆくFSの列車をとらえた一瞬。列車に乗っている乗客もいっせいに窓から外を眺めていかにも楽しそう。一日に何本もない直通車両の航送風景をたまたま見られたのはラッキーだったのかも知れない。1987年夏、イタリア半島の長靴の先端の港町、レッジョ・ディ・カラブリアの埠頭で。
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