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海上自衛隊のピアニスト [ピアノ音楽]

東京海上自衛隊に入隊して6、7年になるという、S子さんの来訪があった。プライベートで彼女とこうして会うのは久々で10年ぶり以上になる。G大のピアノ科を卒業して、軍隊に入る、というのは相当異色でまわりからずいぶん反対もあったようである。先日彼女の属する東京海上自衛隊の軍楽隊とプロコフィエフの3番のピアノコンチェルトを演奏する、というので隅田トリフォニーホールまで聞きに行った。最初その話を聞いた時、え?と思ったけれど、よく考えてみるとこの曲の主要なメロディはほとんど管楽器であるから、やりようによっては、ブラスでやってもさほどの違和感はないであろう、という私の予感はほぼ予想通りであった。彼女の演奏もとても良かった。

今では軍楽隊で女性は珍しくないのだが、彼女が入隊したときには女性として二人目であったという。いろいろ興味深い話も聞けたが、なぜ軍楽隊にピアニストが必要とされるか?というのが私の一番大きな疑問であった。以下、勤務先が勤務先であるから、交わした会話にはブログにはかけない内容もあるがそれに抵触しない程度のことを二つ三つ。。。

彼女の役割であるが、相当多岐にわたる。災害とか特別なことが起きない限り、勤務時間はほぼ普通の公務員と変わらず、平日は夕刻には帰宅し、土日は休み。ピアノの練習時間も結構取れるようである。最近のブラスバンドにはピアノを必要とされる曲が結構多い、ということもあるが、隊員のクラリネットやチューバなどの奏者もピアノを副科でやらなければならないそうなので、彼らにピアノを教える、というピアノの先生としての役割もある。その他年間に相当数あるマーチやコンサート(上述のような定期公演もある)の段取りや雑務もこなす、ということでそれだけで見る限り、まあ実質、そこいらの音楽大学の先生とさほど変わったことをやっているわけでもなさそうである。そして何より、彼女ほどの腕前のピアニストがいることで軍楽隊のレパートリーが増えた、というのだ。これまでラヴェル、ガーシュインなど近代のコンチェルトもやり、評判を聞いた他の自衛隊からもソリストとして時々お呼びもかかる。自分では吹けないけれどダミーでチューバなど抱えて行進する、などというのも勤務にはいる。自宅から勤務先まで10キロ足らずなので、歩いても走ってもたいしたことないです、とこともなくいうが、さすが自衛官、タフだなあ!

私が感心するのは今のところ音楽大学を卒業しても就職難の時代、早い時期にうまいところに目をつけた、ということだ。彼女の成功を見て、じゃあ自分も、と思ってももう今からでは多分遅い。





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