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作曲のレッスンその後 [音楽全般]

例の作曲の男の子である。相変わらずチンタラやっていて、ピアノに関して言えば全く進歩はない。前期の試験には何かひかなければならないから、バルトークのミクロコスモスの易しいのをなんとか半年間かけてできるようにはなった。ただ、今年でピアノの必修(不思議なことに最初の二年間は専門扱い、以後は副科扱いである)その分課題曲も緩くなった。私が責任持つのはあと半年。後期試験曲をいまから考えてやらないと間に合わない。何をやってもいいのだけど、

「なんか君にアイデアある?」

と聞いても「いや、別に」と例のごとく気のなさそうなことを言うから、一計を案じ、

「ではこうしよう。夏休みの間に自分で弾けそうな曲を作曲してくること。休みが明けたら、私が見て必要なら手も入れる。それにプラス、私も君のために小さな曲を一曲作ってあげる。計2曲、それを最後のピアノの課題としよう」。

自作プラス先生の作品の両方を弾いて試験をクリアする。試験官の先生、どんな顔をするか想像するだけでも楽しい。自作とピアノの先生の作品を同時に試験に弾くという発想は、質はともかく、本邦初演で私にとって空前絶後となる。(実現すれば音大の試験としても空前絶後となろう。試験官の先生も盲点に気づき、直ちに次から禁止令を作るであろうから)

突拍子もないようだが、芸術を目指す人はせめてその程度の発想は必要だ、ということくらい学生に理解してもらわなくては、という私の遺言である。

一般のピアノの試験も1950年以降に作曲されたものであること、という課題があって、これには学生も先生も頭を痛めるらしい。いくらでも選択肢はあるはずなのだが。私が学生なら迷わず自分で書いたものを弾くであろう。作品として上等でなくとも、少なくとも最新の作品である。もっといたずらをして、無調でなく、モーツアルトに似せたものを書く。私は学生の頃から、課題の出し方の裏をかいて、試験官の先生の困惑する顔を見るのが何より好きだった。いっそのことその場で即興演奏をする、という選択もある。「即興演奏はダメ」ということは規則にすらないのだから。そもそも想定していない、という発想が問題といえば問題なのだが。

いや、ピアノ専門の学生にも何度もこういう提案するのだが、いつも論外、という顔をされ、結局ショパンだ、リストだという話に落ち着く。
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itobaku

遅いコメントで失礼します。
学生時代私の先輩が副科ピアノの試験で伴奏が課題になっていた時に私設合唱団を引き連れて平吉毅州先生の「気球に乗ってどこまでも」を演奏し、翌年から合唱禁止になった事を思い出しました。
by itobaku (2015-07-25 06:06) 

klaviermusik-koba

合唱団を連れて伴奏の試験を受けるのが何が悪い、というのが私の感想。でも副科の試験はたいてい狭いレッスン室だから、合唱団は物理的に入らないと思うけど。
by klaviermusik-koba (2015-07-25 09:14) 

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