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即興演奏(その2) [ピアノ音楽]

 札幌大谷大学のオープンキャンパスも無事終了した。前にも書いた即興演奏だが、これも無事終わった。考えてみたら、1970年頃、私がヤマハの講師のために「即興演奏」のテキストを制作したことがある。これは現場でかなり長い間使われ、その上、即興について何も知らない音大卒業生であり、ヤマハ講師相手に私も随分即興演奏をやってきかせた経験を思い出した。考えてみれば何のことはない、昔とった杵柄(きねづか)なのであって、しばらく芸大に勤めていた間、こんなことをやる機会もなければ、意味もなかっただけのこと。

 私の即興演奏は、基本的にドイツ古典の様式で、流行のポップスとか、そんなやり方は一切とらない。自分でも上手だとは思わないが、すくなくとも弾きながら和声進行や、転調や対位法のミスだけは絶対やらないようにしている。この最低限のことは守らないと、即興演奏は簡単に「でたらめ化」してしまう。即興といっても最低限守らなければならないルールはいくつか存在するのだ。この経験のおかげで、のちに通奏低音(ゲネラルバス)を弾くことにも全然抵抗は感じなかった。

 ピアニストとして演奏活動しながら、もしくは生徒に教えながら、いつも頭の片隅に、「なぜ、ピアニストは人が作ったものを楽譜どおり弾くだけが能なのか」という疑念はたえず持ち続けていた。もちろん楽譜どおりにきちんと弾くだけでもどれほど困難かはいやと云うほど知っている。多分それは一生続けるに値する大変価値のある仕事であることも知っている。それにもかかわらず、である。即興の楽しさがわかればコンチェルトのカデンツくらい自分でつくれるはずだし、人が書いたカデンツであっても即興的に面白く弾くとはどういうことか、は理解して弾けるはずである。コンチェルトのカデンツは、いま、ここで、即興的に演奏されつつある、というふうに聞こえなければならないからだ。


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コメント 2

makkie60

御疲れさまでした。私の在学中に”即興演奏”の授業はありませんでした。わずかに”SILFEGE"の宅孝次センセイのクラスで仲間が凄くハシャイデ居た記憶があり、翌年、そのクラスに入る(AクラスとCクラスだった)為、クラス分けテストでわざとトチリ、Cに行ったら、宅先生、御自身の問題で急に辞職、後にG大に来られた師匠のSOLFEGEの授業に参入したのは、当時女子のみの71年入学ピアノ科の後輩にカオを売る琴のほか、この経験が有ったのです・・・・・多分忘れられていると思いますが・・・・・未だに即興に関しては劣等感を持っています。あ、月末に仲間と富山高岡で昨年に引き続き”室内楽ワークショップ”を3日間企画しましたが、昨年同様参加者の少なさに感じ入っています。今や”カネ”を出して一緒に室内楽なんてのは、ナカナカ流行らないらしい・・・例外はマスコミによく出てる有名人主催のモノ!マァ、富山と謂う土地柄、「文化的しかし奥ゆかしい」気風、風土での新企画には時間と忍耐が必要とのコトでした。”やりたいんだけれど、足で纏いになっても・・・時間もないしネ」と仰る方に何人お目に掛かったかなぁ・・・・・・・・・店子マッキー
by makkie60 (2007-08-01 17:42) 

klaviermusik-koba

G大では私は即興演奏はやりませんでしたよ。あなたが私のクラスにいたのは覚えていますが。ただこんなものは人に啓発するだけであって本人がやりたいと思わなければいくら教えたってだめで、「G大ではこれをやるのは不可能(特にピアノ相手では)」と判断したからです。
by klaviermusik-koba (2007-08-02 12:51) 

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