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留学は人生観を変えるか [ピアノ音楽]

 ドイツに留学しているH子さんが夏休み中の一時帰国とかで,挨拶に来た。まあ元気で何より,ドイツのF市でも楽しくやっているようで,例によってどんな曲を勉強している?とか、他にどんな面白いことがある?とか現地の様子を聞いて,うん,さもありなん、と聞いていた。日本で忘れかけていた,ヨーロッパの融通無碍な勉強法も改めて,再認識した。時々,このような報告を聞くのは,私にもいい刺激になる。つい,二時間くらいも話し込んでしまった。来年は卒業試験も受けるという。

 それでも,今の芸大の卒業試験の方法は私の現職以来、全く変わっていないみたい。もっと卒業試験を段階的に厳しくすべきだ,と私はかねがねいっていたが,どうもそれ以来進歩していないみたい。ドイツでは,学生ができる,出来ないに関係なく,卒業試験の課題ははるかにハードになっている。1回分のリサイタルプログラム,それに1時間の別のレパートリー曲,これにコンチェルト1曲。学生の能力よりかなり上のハードルなのだ。それにくらべ,日本の卒業試験は学生のできる範囲でしかやらない。これではいつまでたっても学生は現実のまま留まり、高いハードルに向けて頑張ろう、というふうにはなりにくい。なんとかしてほしい。

 少しあれ?と思ったのは,相手が女子学生には私は握手すらしないのだが,(何しろ今のご時世,うかつに手を握るのもヤバイ)まあ外国帰りだから,と思って握手の手をさしのべたら、その手を握り返しただけでなく,ごく自然にヨーロッパ流に抱きついて挨拶を返してきたのだ。ヨーロッパにいるときはこういう親しいどうしの挨拶は,相手がだれであれ,違和感は持たないものだが,日本にいると,同じ相手であっても,挨拶は,日本流に,頭を下げあうだけになってしまう。彼女も日本へ帰ったら、たぶん、まもなくそうなるのであろう。
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コメント 4

Akira

私は分野は違いますが、やはりドイツの大学を卒業して日本のそれと大きな違いを感じました。普段のプロジェクトも最後にプレゼンテーションをするのは変わらないですが、卒業制作のそれは教授の先生方の質問も厳しく、本当にそのための努力をどこまでしたのかが問われる感じです。少しでも手を抜くとバレてしまいます。
もちろん評価も厳しいものになります。今考えれば、良く卒業できたなぁ..と。
挨拶については、長くドイツに居たにも関わらず、握手だけは自然にできますが、ハグの経験は少なく未だに恥ずかしさがあります。
人間中々慣れないものですね。



by Akira (2008-08-20 22:36) 

klaviermusik-koba

ええ、私の場合は学生は女の子がずっと多いので、気を遣うことも多いのです。いつもある線をおいていますから、相手によっては、すこし先生はよそよそしい、と思われてるみたいです。私としてはもう少し自然に自分の感情を出したいと思っているのですが・・・。

by klaviermusik-koba (2008-08-21 20:37) 

K.

ご無沙汰しちゃいました。

出先でパソコンが壊れちゃって、
久しぶりに先生のブログを拝見しています。

1回目のドイツの室内楽のツアーも
とても楽しく終えました。

宿泊先にインターネットもテレビもない生活で、
北京五輪は新聞で読みかえしておりました。

試験の曲の多さは、日本の音大生が海外で必ずぶつかる
現実問題だと思います。ある種のカルチャーショックですね。

あと日本の学生の方が技術的にははるかに上の子が多くても、
こちらの学生たちには、木の幹的な、音楽に関する
幅広く深い知識が育った環境にあり、そこも本当に
あぁ!なんで日本に生まれたの?と思っちゃうくらい、
大きな差を感じました。

今指導する側にたって、
私が恩師のH先生から受け継いじゃっている口癖があります。

「ほかには何弾いてるの?」


これだけでも、学生側からしてみたら、
エンジンストップかけられないと思うみたいで、
私の学生たちは、アップアップしながらも、
がんばってはいます。

私はそれをみながら、懐かしく思いながら、
クックと微笑んでしまいますけど。
by K. (2008-08-28 01:28) 

klaviermusik-koba

室内楽、楽しそうですね。

おそらく、1曲しかとりあえず弾けない、というのは私の知る限り、日本だけみたい。上手下手は別にしても、たいてい、何曲かは持ち曲があるのもです。台湾の子供のコンクールをみてそれを感じました。

でも日本の音大の先生は忙しいですね。先生の立場に立てば気の毒の感じは分かるのですが、それにしても・・・
by klaviermusik-koba (2008-08-28 08:32) 

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