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帝国ホテルの料理長 [グルメ]

 前にも記したが、ある奇特な方のご招待で今回は帝国ホテルのTさんという総料理長と晩餐を共にすることになった。小雨の降る中、タクシーでホテルに向かった。普通、料理長というものは宴の途中で特別な客には挨拶に顔を出すくらいなものだが、この日は料理長は、最初から最後まで、普通の背広姿で、食事を共にしていたから、事情を知らない人がこの風景を見たら、この人もお客の一人、というふうに見えたに違いない。

 今日の料理もまた、特別なものであった。フランスから取り寄せたアスパラガスに始まって
(アスパラにこんな素晴らしい香りがあるのはこれまで知らなかった)メインディッシュが小鳩とフォアグラの料理、という凝りに凝ったフランス料理である。(またもやカメラを忘れた!!)例の黒田さんと清子さんのご結婚披露宴を200人の部下を取り仕切った人でもある。

 6時から始まったが、例によって私はおしゃべりだし,T氏も話好きで、初対面にもかかわらず料理のウラ話はもちろん、帝国ホテルに宿泊した名士の話、皇室の話など話題はいつまでも尽きなかった。「生まれて初めて帝国ホテルに足を踏み入れたのはライトの設計した古い石造りの旧館の建物で私が芸大に入学してまもなくのころでした」という私の話には特に興味を持たれたようである。貧乏学生でとてもこんな場所にこられる身分ではなかったが、歴史的な大ピアニスト、ウイルヘルム・バックハウス氏が「日本公演のため帝国ホテルに宿泊中、これから有望と思われる日本の若いピアニストの演奏を一人聞いてみたい」という希望で、なぜかまだ大学1年に入学したばかりの私に白羽の矢が立った。ただ田舎ものの私はその時のことについて、あまりといえばあまりの出来事で、ずっとアタマが真っ白で、ホテルの特別の一室でバッハ=ブゾーニのC-durのトッカータを弾いた以外のことは何もおぼえていない。

 バックハウス、という名前はやはり当時、特別の賓客の一人で、シャリアピンなどと共にホテルに代々語り継がれているようなのだ。この若い料理長もバックハウス、という名前は歴代の帝国ホテルの料理長から聞いていたという。

 気がついたらデザートが終わったのが10時を過ぎていた。あとで考えたら、この料理長は、たしか以前大賀典雄さんの金婚式のお祝いの時の料理長も務めたひとではなかったか。その時のメインは確かドーヴァー海峡のシタビラメだったと記憶している。私も結構グルメではあるのだろうが、惜しいことにネコに小判、という感じもしなくもない。
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コメント 2

ake_i

カメラ、忘れてしまったのですね。
残念です。
足を踏み入れることすらない、この話題にとっても興味があります。

無事に乗り越えました。
御心配をおかけしました。
精魂使いはたし、もぬけの殻の状態です。

膝、リハビリしており、ヨチヨチ歩いています。

本当にご心配をおかけしました。
by ake_i (2009-06-09 17:32) 

klaviermusik-koba

そうですか、うまく行ってよかったですね。リハビリ、ぼつぼつ、ですね。お大事に。
by klaviermusik-koba (2009-06-10 13:24) 

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