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リスト・ピアノソナタ講座 [ピアノ音楽]

 恒例の洗足学園のピアノ特別講座。本当はこういう媒体物で広報をしてはいけないのだそうです。あくまでも在学生対象のものらしい。が、これまでの実態は学外からも多くの参加者が来られ、来るものは拒まず、ということで、毎回、一風変わった視点からのピアノ講座ということでご好評をいただいております。これを聞くことでピアノがうまくなるかどうかは保証の限りではありませんが、ピアノ音楽の見方がかわる、ということは請け合いです。

 2月15日 洗足学園音楽大学 アンサンブルシティ 1 18:00より

 今回はリストのソナタを本学教授の作曲家、伊藤康英さんと先般リサイタルで素晴らしい演奏をした魚谷絵奈さんの演奏を交えてこの難曲を出来るだけわかりやすく解き明かします。

 昨日伊藤さんが拙宅にこられ、打ち合わせをしました。お互いこの曲をどうとらえるか、ということで意見を交わしたのですが、二人で期せずして意見が一致したのは、曲全体が単一楽章としての巨大な「ソナタ形式」を備えている、ということと、複数の楽章から構成された「ソナタ」の両面の二重構造をもっている、ということです。細部についてはいろいろ意見の相違があったものの、私はもう一度自分の考えを頭の中で整理し直してみる有意義な打ち合わせになりました。話はハイドン、ベートーヴェン、シューベルトやシューマンのソナタとの比較、はてはワーグナー、リヒアルト・シュトラウスの楽劇や交響詩にまでおよび、一つの作品を理解するにはその背景として多くの作品を知る必要がある、ということでさまざまな例を引き合いに出して会話を二時間半あまり楽しみました。伊藤さんの話の中で印象に残った言葉がふたつ、「この曲をざっくり三つの部分に分けて考えてみる」「歴史に残る傑作といわれる曲はどこか必ずいびつな部分がある」。私はこういう会話を持てる友人があることを本当に幸せに思います。
 
 「ハンマークラヴィア」「ディアベリ変奏曲」そしてこのリストの「ソナタ」のような理解の難しい曲をきちんと詳細に分析してみるのは演奏とはまたちがった深く知的な楽しみがあるのです。そして思うのは作品というものは、きちんと理解されることを欲しているものだ、とも感じるのです。

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高本秀行

>「この曲をざっくり三つの部分に分けて考えてみる」

伊藤先生は「3部分説」ですか! 小林先生のご説開示が楽しみです。2月15日にはお伺いして勉強させて頂きます。よろしく御教示お願い申し上げます。
by 高本秀行 (2010-02-01 17:28) 

klaviermusik-koba

私は「4部分説」なのですが、よく考えると、伊藤説のほうが無理がないかなあ、とも思います。これから本番まで再考します。
by klaviermusik-koba (2010-02-01 21:36) 

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