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日本ショパン協会賞 [日本ショパン協会]

今年も日本ショパン協会賞の受賞者が決まった。日本ショパン協会理事会の動向はブログで毎回お伝えしているわけではないが、理事会でいつも紛糾するのは受賞対象者の選考である。

理事の方々が日本全国のショパンの演奏をすべて聴くのは不可能なので、よくピアノのコンサートを聞かれる、評論家の方々にもお願いして、候補となりそうな一年間の日本人のすぐれたショパン演奏の情報を得ることにしている。現在では外国での日本人のコンサートにもすばらしいものがあるに違いないし、それを除外するのは不公平であることは承知しているが、現状はそこまではとても手が回らないので、一応国内の演奏に限っている。賞の対象になるのはショパンの演奏、といってもバラード1曲とかではだめで、せめて一晩のプログラムの半分くらいのまとまった分量にならないといけない、という一応の目安はあるがあくまで演奏の中身しだいである。

そこから上がってきた情報が私のところにもたらされる。その中から、これは、というものを10件前後を選んで私が実際聞いていないものはライブ録音されたCDを聞くのだが、コンサート会場で聞いた印象と、録音で聞くのとではずいぶん印象が異なり、選考の難しさを毎回感じる。そしてその中からさらに3−4件に候補を絞って、担当される理事の方々に聞いていただき、理事会に出られない場合はあらかじめ候補に挙がった演奏についての意見、コメントをいただくようになっている。

演奏者の経歴を知らないものについては私はその情報を知らないままで、つまり予備知識なしに聞くほうが先入観を排除できるから、最後の段階まで私は知らないままにしておく。こういうと中には経歴を知っている人もいるわけだから、不公平になるのじゃないか、という反論も当然あろうが、その場合もなるべく先入観を排して、既に私が名前をよく知っているピアニストでも、あくまでその時点での演奏の質を重視するよう心がけている。

理事会での最終選考の結果、今年の日本ショパン協会賞は河村尚子さんに決定した。実はこのピアニストについても私はほとんど知ることがなかったが、ライブ録音の一曲目をを聞いだだけて、日本人もこれだけのショパンを演奏できる人が出たのだなあ、という深い感慨を持った。さらに聞き進むにつれて、このピアニストの音楽性にますます惹かれた。これで決まり、と私は信じたが、理事の方々に聞いていただくためにもう一件だけ有力とおもえる候補を入れた。選考会議にあがる候補がたった2件だけ、というのは異例である。総じていえばショパンイヤーの前年、ということもあって低調に見えた。唯一の例外が河村尚子さんだった。
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