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白ミサ [ピアノ音楽]

 私はスクリャービンの後期の作品は特に苦手とし、あまり好きでもないし自分で弾きもしないが、ピアノ作品として知らないで過ごされるものではない。再来週の洗足学園の大学院のゼミで取り上げるので研究を始めているが、はじめて見るとスクリャービンはやはりハマるのである。

 白ミサと呼ばれる7番のソナタは典型的な後期のスクリャービンの研究対象としては格好のものであろう。この曲が作曲されて来年でちょうど100年にあたる。この100年間どのように晩年のスクリャービンが評価され、忘れられ、再評価されてきたか、をみるのも面白かろうが、それは専門の研究者の仕事であろうからさておく。

 5番のソナタ以降、スクリャービンは単楽章ソナタしか書かなくなる。単楽章のソナタ、と言えばリストやベルクが思い浮かぶが、この第7番のソナタもやはり単楽章、基本はソナタ形式である。比較としては少し乱暴ではあるが、ベートーヴェンのソナタからプロトタイプに近いものを探すとすれば月光ソナタの終楽章ではなかろうか。曲は提示部、展開部、再現部、終結部という風にわけられるが、展開部と終結部が特に充実していて、終結部自体がひとつの展開部の様相をなしている、という点で構成がそっくりなのである。

 独特の和声ももちろん見逃す訳に行かない。ここでこれを始めるともう収まりがつかないからやめておく。洗足のゼミは残念ながら外部の方はいらしていただけないけれど、年2回の特別講座と同じように結構面白いピアノネタはつきないものなのだ。
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