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マズルカ和声のなぞ [ピアノ音楽]

 ショパンのマズルカではショパン独特の和声の中でもとくに理解に苦しむことがある。

 作品41−1嬰ハ短調。56小節目の右手最後のHにわざわざシャープ記号がついていること。URTEXTの校訂報告をよんでいつも不満に思うのは、これこそ自分が一番知りたい、というところにはたいてい何のコメントもないことだ。ここの中間主題は完全な嬰へ長調であり、最後の右手の「H」は一度嬰ハ長調に転調したのをもとの調性に戻すキーポイントとなる音で、常識的には「Hナチュラル」でなければならない。これは何かの間違いだ、と長年考えてきたが、私なりの結論でこれはやはり「His」が正しい、とみた。

 ある部分の疑問を解くには曲全体から見る必要がある。この曲は基本的に教会旋法でできており、旋法と調性がこれほど見事にからみあい、幻想的な雰囲気を醸し出しているのは奇跡に近い、と思う。比較的演奏されないがマズルカの中でもまれな傑作の一つだと思う。調号が嬰ハ短調で書かれているものの、人がこの曲をCis-mollであるとはっきり認識できるのは最後の12小節しかない。問題となる「His」は曲の基本となる「旋法」を重視するならば、ここは「リディア」旋法であり、嬰へ長調と考えれば左脳としては納得がいく。納得はいくが左脳が右脳を納得させるまでには少し時間がかかる。(札幌)

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