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モーツアルト=グリークのソナタ [ピアノ音楽]

 モーツアルトのピアノソナタをグリークが2台ピアノ用に編曲したものがあることはご存じの方も多かろう。だがこれを詳細に研究した人をあまり聞いたことがない。K.545, 533, 283, 475, 457の5曲である。これがコンサートのプログラムに載ることは極めてまれであるが、私は途方もなく面白いものだと思っている。

 モーツアルトのソナタの原曲はそのままにして、それに第2ピアノをつける、という、私の好きな編曲法である。完璧で足すものも引くものもない、素晴らしいモーツアルトのソナタに、なにかを付け足せば、悪くなることはあっても良くなることはない、と思われているが、天才グリークの手にかかると、その編曲はモーツアルトの原曲に全然負けていないところがすごい。

 モーツアルトの精神を最大限尊重し、そこにグリーク独特の和声法で編曲している。やや私が気になるのはバスの保続音を多用しすぎるところだが、それでもオルゲルプンクトの上にはどんな和声を載せてもいい、いわば何でもありの世界だからそこはグリークの独壇場となる。それでいてモーツアルトの良さは決して損なわれていない。

 あまりに面白いので、電車の中でiPadの楽譜を読みながら、しばしば吹き出してしまった。まわりにはさぞ変に見えただろう。じいさんがiPadの楽譜をのぞき込んで、げらげら笑っている、少し頭がおかしいのではないか、と思われたかも知れない。こういう名曲の俗悪な編曲に腹の立つことの多いこの頃、これは一服の清涼剤となる。
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