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「東洋経済」の鉄道再起動 [鉄道全般]

 週間誌「東洋経済」は鉄道の特集記事をこれまで何度も組んでいるが、切り口が通常のファン向けの鉄道雑誌とはひと味もふた味もちがうところが面白い。一般の鉄道雑誌から受ける印象は、鉄道会社から取材をしている関係からか、どこか鉄道会社に対して遠慮のようなものがつきまとって、なまぬるい感じがしないでもない。

 「東洋経済」は経済雑誌だから鉄道も当然経済面から見ることが主たる目的だが、数字を主に扱うからある意味すかっとしていて、マニアにも新鮮に映る記事が多い。たとえば東北大震災後の、海岸沿いの鉄道の復旧状態も同じ大赤字路線なのに、南、北リアス線は完全復旧が決まっているけれど、JR山田線は再開の見通しが立っていない理由など、なるほど、と納得することも多い。

 中国の新幹線は外国のパクリだが日本の新幹線は世界に誇れるもの、というおおかたの先入観にも疑問を呈している。新幹線のようなシステムぐるみの高速鉄道はどこの国にも当てはめられるというものではなく、日本という特殊な国だからこそできた、という日本新幹線ガラパゴス論も、日本人には愉快ではなかろうがなかなか興味深い視点といえる。新幹線の入札が外国で思うようにいっていない理由も、日本の売り込み方がまずいせいばかりでなく、そのあたりに本質があるのかも知れない。
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HUH

 経済誌も鉄道を特集すると売れ行きが良いそうで、最近はよく鉄道特集を組みますね。鉄道雑誌は確かに鉄道会社に遠慮がちで無難なことしか書かないように感じます。経済誌は遠慮が少ない分興味深いですね。

 新幹線については指摘された通りだと思います。新幹線のシステムとしての完成度は他の高速鉄道を凌駕していると私も思います。ただ、人口密度の高い大都市が直線上に並ぶ日本では輸送需要が大きい分、人手とコストをかけられますが、そんな場所はそうはないでしょう。そういう意味では、新幹線という存在は非常に特殊性が高く、導入するには敷居が高いように思います。
by HUH (2012-02-23 22:45) 

klaviermusik-koba

HUHさん

ドイツ旅行の写真、大変楽しませていただきました。

これだけ世界に高速鉄道が普及してみると、日本の新幹線はある意味特殊なケース、というふうになりつつあるのかも知れません。ただ、高速鉄道実用化の最先端であった、という栄光は依然として歴史に残るとは思います。

「昔は人々は世界中からドイツに鉄道の模範を見学にきたものだが、いまやドイツを含めて世界中の人が日本に鉄道を学びに押し寄せている。日本人は新幹線をまるで市内電車のように時刻表も見ないで気軽に利用し・・・」という、新幹線開通後20年くらいあとに出された分厚いドイツの「世界の鉄道」という本にこんな驚きの記事があったのが印象に残っています。
by klaviermusik-koba (2012-02-24 12:12) 

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