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The Chopin Year 2010 [日本ショパン協会]

 「The Chopin Year 2010」という2冊の分厚い英文の報告書がワルシャワから送られてきた。報告書、といっても豊富な写真入り、ハードカバーの立派な製本で、合わせると35ミリの厚さがある。2010年のショパンコンクールに関する記事、入賞者や審査員などのインタービュ記事は当然として、2010年のショパンイヤーに世界中でどのようなイベントがあったかを、克明に記したものである。

 私が2010年のショパン・イヤーの名誉委員に名前を連ねていたこともあって、このようなものが送られてきたのであろう。委員の依頼を受けたとき、私はどういう人が名誉委員になるのか、何をするのか、全く知らなかったので多少不安に思ったが、これを見ると日本では約30名近くの人がリストアップされている。ピアニストは多分私だけで(これもすこし変だが)小泉純一郎、芸大の学長、雑誌「ショパン」編集長の内藤さん、など、いろいろな名の知れた団体の長がほとんどである。

 世界でこの年にどのようなイベントがあったか、の内容であるが、ポーランドという国が、世界中の国に対して、大きなショパン・キャンペーンを行ったことが一覧出来る。日本に関していえば、芸大にショパンの胸像が贈られたこと、ラ・フォルジュルネや表参道の2週間にわたるショパン・ウイーク、世界のショパンの音楽に貢献した人に贈られた文化勲章や、ショパン・パスポート(どういう目的でどんな人に贈られたかは、名簿を見ても少し首をひねるが、日本人では横山幸雄さんなどが入っている)といった記録に1ページがさかれている。そういえば、2008年頃、2010年の記念すべき年に日本としてどのような計画があるのか、とポーランド大使からきかれて、「いや、まだ考えているところです」と答えざるを得なかったが、でもこれは私の立場としてはかなり大きなプレッシャーになったことは否めない。

 私たちにとって2010年はまだ記憶に新しいから、これといった感慨は持たないけれど、ショパン250周年、300周年、などの今後大きな節目になったとき、こういう文書は大きな意味を持ってくるにちがいない。国を挙げて、莫大な予算を2010年のために計上し、文化国家としてのキャンペーンを世界に向けて発信する国は、これ以上のものはちょっと見あたらない。かえりみるに、国家予算の0.1%にしかならない日本の文化予算はなんともお寒い限りといえる。日本とポーランドの文化に対する認識の違いをこれほど鮮明に感じさせられるのは、なんとも恥ずかしい、と思うばかりである。
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