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ミュンヘン時代の旧友 [プライベート]

 ミュンヘン時代の旧知が亡くなって何周年かになり、想い出の記念出版を契機にして集まる、という招待を受けて出席した。ところが、ほとんど知らない方々ばかりで、畑違いでもあり、さすがの私もどう接して良いかわからない。ぼんやりしていたら、ただひとり、むかし麻雀仲間でもあった元東大教授で人類学者のOさんがあらわれ、どうも話が合わなくて退屈だから、抜け出して二人でお茶でも飲もう、ということになった。

 それからのたった二人のお茶の会はなかなか面白く、時間を忘れた。Oさんはピアノも弾くし、将棋も五段、などと趣味が広い。私も何でも面白がるたちだから、このチャンスに人類学の権威をつかまえて、何でもかんでも聞きかじった。人類の発生から、ネアンデルタール人、クロマニョン人、そして現代の人類学はどこまでわかっていて、どこからがわかっていないか、日本人のルーツ、などなど。

 一方私はOさんがバッハの音楽がいちばん好き、というところからスタートし、バッハの音楽はマルティン・ルターまでさかのぼること、そしてバッハの生誕地がルターのおひざもとであるEisenachだから基本的にプロテスタントであること、そのへんから、宗教の話、日本に西洋音楽がもたらされたいきさつとキリスト教の話など、どの切り口をとってみても、刺激的な反応が帰ってきて、さすが東大の先生は違う(50年前はお互い学生だったけれど)、などと感心するよりは、昔とちっとも変わってないね、という認識で一致した。

 年をとるのは悪いことばかりではなく、おたがい、専門の領域はもちろんだが、雑学の蓄積はミュンヘン時代よりはるかに増えているわけだから、会話は年を重ねるほど面白い、という実感をかみしめた日であった。
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