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東京文化会館にて [ピアノ音楽]

 日本演奏連盟主催の恒例のクラシック・フェスティバル、私が企画にかかわったこともあって、札幌から直行して東京文化会館のリハーサルから立ち会った。演奏も素晴らしく、ほぼ満席の大ホール、大成功だったと思う。私の編曲の第8シンフォニーの8手連弾も伊藤恵さんのリードで全体が見事にまとまり、ブラボーもすごかった。いろいろの事情でこのクラ・フェスも来年度で終わりとなる。少し淋しい。

 ところで休憩時間にめずらしい人にあった。瀧井敬子さんである。彼女は何年も前に「漱石の聞いたベートーヴェン」という著書を出されていて、昔一度読んだのだが、たまたまもう一度読んでみる気になって、往復の飛行機の中で読み直していた。なかでも永井荷風の台本に菅原明朗が作曲した浅草オペラ「葛飾情話」についてのくだりに興味を持ち、彼女にこの録音やスコアが残っていないか聞いてみたい、と思っていた矢先だったのだ。それがなんと、ふだん、まずめったに会うチャンスのない、ご本人から休憩時間中に声をかけられたのである。奇遇というしかない。「先生の編曲ものがプログラムにあるから、いらっしゃるかもしれないと思っていました」とのことだが、彼女の著書を読んだばかり、というまさにその時ご本人が現れたのだから、一瞬、瀧井さんが夢枕に立ったのか、と思ってしまった。
 日本の音楽界の先駆者ともいうべき「幸田延」(幸田露伴の実の妹)の話で盛り上がった。どうやら「幸田延」の著書を最近完成されたとか。幸田延の妹「安藤幸」はヴァイオリニストで、戦後も東京芸大で教えていて、私がちょうど入学した年あたりに退官されているようである。これも何かの因縁であろう。それにしても幸田家兄弟姉妹は、たいへんな才能の持ち主揃いだったようで、夭折した人を除いて、みんなひとかどの人物になっている。
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