東京駅の夜景を見る

今年の正月は東京駅の夜景を見ることから始まった。暮れに「伯父ちゃん、東京駅の夜景が一番よく見える場所で食事をしようよ」と姪から連絡があったが、場所はこれから予約をする、というので、今からじゃとても無理じゃないの、と私は全く期待していなかったが、まもなく「丸ビルの居酒屋風レストランがとれた」と連絡があった。

そうはいっても丸ビルとはいえ、居酒屋だから町の夜景はおろか、東京駅が見えることもやはり期待していなかった。ところが、である。行ってみると、丸ビルの６階、それも角部屋の個室、カーブガラスの窓越しに東京駅の全貌を見渡せるという最上級の部屋であったのにはたまげた。出入りする新幹線や近郊電車も見える。そもそも、私の頭の中で、丸ビルとはオフィスビルであって、居酒屋、というイメージと結びつかなかったのだ。

参加者は私と妹と姪、それと息子二人合計５人。８人以上は入れないくらいの大きさの個室である。こういうものをうまく見つけるのは、私より姪の方が才能がある。何か勘が働くらしい。東京駅の夜景が見える、という場所だから、大勢の客で満員かとおもいきや、それほどでもなく、結構空いている席もある。なによりいいのは、正月にはつきものの、BGMの定番「春の海」とか、ペンペン、という鳴り物が全くないこと。モーツアルトさえもふさわしくない。タバコのにおいもしない。客層も居酒屋特有のよっぱらってバカ声を出す人もいない。静かなのだ。私たちは東京駅の夜景を十分に堪能できた。こういった「居酒屋」のありようも丸の内、という土地柄によるものか。もう来年もここだ、と即座に決めた。ちなみに店の名前は「ななは」という。値段もリーズナブル。特に正月に限らず、ここはおすすめ。