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シトロエンBX [自動車]

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これまで乗り継いできた車の中で一番印象ぶかく、かつ、スタイルが抜群にいい、と惚れ込んだのが、このシトロエンBX。1986年ごろの写真である。それまで日本車やドイツ車に乗り継いできて、最初この車を見た時、これは何じゃ、と思ったものだ。乗って見てさらに呆れ返った。私は音楽家だからピアノ音楽に例えると、これまでベートーヴェンだけが本物の音楽、と思って接してきたのが、いきなりドビュッシーの前奏曲第二集「カノープ」にぶち当たったような気がしたのだ。なんか、隙なくがっしりと作られたベートーヴェンのピアノソナタからみるとドビュッシーは手抜きだらけの音楽に見える。

シトロエンも私にはそう見えた。しかしあまりにスタイルが個性的でサスペンションが独特(ハイドロ・ニューマティックという)なのでつい、買ってしまったのだ。乗っているうちに、これはベートーヴェンとドビュッシーはどちらが優れているかなど比較できないように、シトロエンとフォルクスワーゲンとどちらがいいか、比較することが間違いであることに気づいた。感性の差の問題のようである。私はこの車に惚れ込み、ずいぶんドライブを楽しんだ。液体サスペンションだから、金属のバネとは基本的に違う柔らかさを持つ。ちょうど胎児が母親の胎内で羊水により外部のショックから守られているよう、と実にうまい表現をしたのは、親しいシトロエンマニアの某産婦人科医だった。さすが産婦人科の医者、うまいことをいう。ちなみに彼は大のメルセデス嫌いで有名であった。

ずっとあとで知ったことだが、作曲家の黛敏郎さんもこのBXの愛好者であることを聞いてなるほど、彼の感性からすればさもありなん、と思った。BXはたぶん液体サスペンション最後の系列で、それ以降はシトロエンも割に普通の車になって行った。国際競争を考えれば止むを得ないのであろうが、もうあんな車は今後出ないであろう。惜しい気がする。
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masato-marklin

 私もシトロエンBXに乗っていた時期がありました。懐かしいです。
 1600のエンジンでとても非力でしたが、それが駆使して走るのがとても楽しかったです。
 緑色の丸い球体のハイドロニューマチックの乗り心地も独特でしたね、まるで大型客船に乗ってるような滑なかな走りでした。ブレーキをかけても加速をしても常に水平をと持つように走るので滑るように走ると行ったイメージでした。
 現在でもハイドロニューマチックはハイドラクティクブと名前が変わり進化しているようです。
 名古屋のメル友にもシトロエン乗りが3人います。
by masato-marklin (2013-10-05 10:04) 

klaviermusik-koba

そうですか、。masatoさんもシトロエンBXのオーナーでいらしたとは。。やはりこの世界も同好の方多いのは嬉しいかぎりです。ハイドロニューマチックも進化しているのですね。ときどき街で見かけるシトロエンも独特のいいスタイルだなあ、とつい見入ってしまうことがあります。私のは1400ccでしたからもっと非力でしたが、もともと走りには全く期待していませんでしたから、これはこんなもの、と割り切って乗っていました。
by klaviermusik-koba (2013-10-05 11:13) 

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