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日本ショパン協会賞・ショパン・コンクール2015 [日本ショパン協会]

今年度の日本ショパン協会賞の受賞者を決める理事会が開かれ、審議の結果今年の受賞者はなし、ということに決まりました。この結果には会長といえども従う、というルールになっていますから、私個人としては残念な気がしますがやむを得ません。若手で前年一年間で一番優れたショパンを演奏した、と判断された演奏(ライブに限る)に授与されるもので、これまで50年間の受賞者の顔ぶれをみると、その後の受賞者の活動は、それぞれ納得できる成果を残しているピアニストが圧倒的に多いので、その判断には大筋で間違いがなかったことがわかります。こうなってくると毎年の審査には慎重にならざるを得ません。

一人最有力候補に挙がった人の演奏は、私も録音を聞いて確かに感動的で素晴らしく、充分受賞の価値がある、と思ったのですが、2番のソナタの第2楽章で20小節も飛ばして弾いていたミスが問題となりました。これについて審査に当たった人の意見は完全に二つに別れました。ほとんど誰にも気づかれないようなミスなので(私も何回も演奏しているのに気がつかなかったくらい)音楽が素晴らしいから問題にすべきではない、という意見と、いや、やはりコンサートを聞いた人の中にはミスに気づいた人もいたはずで、それが受賞の対象になったのはなぜか、とクレームがつきかねないからやめた方がいい、という意見です。どちらの側にも一理はあります。私はミスなどあってもコンクールとは違うのだから、どれだけ人に感動を与えたかが音楽として最重要だ、と意見は述べましたが、結局最後は今年度の受賞対象者はなし、という無難な結果に落ち着きました。このように演奏の評価はとても難しいものですが、ヨーロッパであればこの種のミスはあまり問題にならなかったにちがいない。これも国民性の問題で日本人は基本的に真面目なのですね。それがいいことか、どうかも判断に苦しむところです。

日本ショパン協会は1960年に当時の著名な音楽家、野村光一、遠山一行、井口基成、永井進、安川加寿子といった錚々たるメンバーで設立され、以来50年の伝統と歴史を持っています。といっても当初は、ショパンの好きな人たちが集まって酒を飲み、飯を食って議論を戦わす、といった程度の同好会的な集まりであったようです。それが年と共に活動が公共性を帯びてくるようになり、そのショパンの音楽普及活動は、いまではワルシャワのフレデリク・ショパン協会本部や、世界各地にあるショパン協会からも一目置かれる存在にまでなっています。来年はショパンイヤーに当たりますので、日本ショパン協会主催の第3回ショパンコンクールが来年の3月16、17、19、20の4日間、洗足学園前田ホールで開催されます。審査には日本ショパン協会の理事があたります。2015年にワルシャワで行われるコンクールのプログラムとほぼ同じなので、かなりハードなものですが、ワルシャワのショパンコンクールを受けたい、と思っている才能ある若いピアニストには絶好のチャンスになります。振るってご応募ください。

また、日本ショパン協会は多くの有名なピアニスト、ショパン愛好家が会員となっており、会員の中から選ばれた理事によって運営されています。会員はショパンの音楽を愛好される方であれば、理事会の議を経てどなたでも会員になれます。詳細は日本ショパン協会事務局までお問い合わせください。
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